病院がダメになった理由

最近、ここ数年です。
医療事故や、医師の名義貸しが話題に上るようになってから、医療を受ける側、実施する側の間で少しずつですがお互いの関係が微妙な状態になってきました。

何故か、世間では、病院或いは医療に対しての不信が公然と語られるようになってきています。

この病院がダメになった理由の最大の原因は、インターネットである。

と書いてしまうと、『お前アホか?』と一言で片付けられてしまうので(最近の事件の理由付けするのに『インターネットのせい』だと一言、言えば皆なんとなく納得してしまうところがあるのですが)、その結論に至った理由を以下に述べる事にします。

何故、ダメになったか?

1.最新の医療情報が手軽に手に入るようになった。
(この中には、まだ実験段階の技術や、本当に正しい事が証明されていない情報が含まれています。)
2.患者の権利が認められるようになってきた。
3.医師が、専門馬鹿になってしまった。
4.情報公開が進み、治療に対する姿勢が問われるようになってきた。

きっとまだあると思いますが、それぞれの理由を言いますと。

1.自分の病気の説明を受けたとき、その病名について、昔は、医学書、専門誌を調べないと病気が何なのかわからなかった。また、専門用語の羅列で内容を把握しづらかった。
それが、最近では、健康についての雑誌が数多く出版されていますし、インターネット上でわかりやすく説明されているサイトが多くなってきて、自分の病気を調べる事が楽になり、わかりやすくなってきたことが挙げられます。
(ただ、これに関して言えば、正しい記述ばかりだとは限らない事と、個々の症例で治療方法が異なるといった場合がありますので注意が必要です。)

2.1.の情報を手軽に入手できる結果と、インフォームドコンセント(患者yさんへの事前説明)が重要視されるようになり、自分の治療に対して意見を言えるようになってきている。
これに関しては、当然必要なことなのですが、昔は、『黙って俺の言う事を効いていれば良い』という医療を行う医師が大部分であり、患者側も、治療方針に意見を言う事ができなかった。
そして昔は、その言葉を100%信じて治療を受けていたが、最近、病気の治療法方を、患者側に選択させる医師が増えてきたため。他の医療機関にセカンドオピニオンを求める患者さんが増えると同時に、その意見を求めた医療機関側の医師が、前医の意見と違う治療方法、検査を進めると言う様な場合があります。

3.このことに関しては、昔も、今も変わらないのですが(全てではない事を断っておきます。)専門的な医学知識を追求するあまり、普通の病気がわからない、或いは見落としてしまう事がある。
えてして多いのは、患者さんの病気を見るときに、原因が最初不明なときにまず普通ありえない病気を想像する事が多いようです。
病気を治療するために、原因がわからなければ治療できませんので、まれな病気を含めて検査を行います。結果的には不必要な検査が増えてしまい、医療費が増える要因になります。(極稀に、その稀な病気の場合がありますので、その病気を考えることは不必要ではない事もあります。)

4.昔は、医療事故が起こった場合、内部処理で済まされていた問題が、最近の情報手段の発達で、その医療事故の原因となる医療情報に接する事ができる職員が増えてきた事が挙げられます。
最近の医療施設は、以前の紙のカルテから、電子上のカルテに移行してきており、その情報に接する事がどこにいても可能になりました。
内部告発者がいた場合、そこから情報を手に入れることは可能です。
また、最近では、患者側が、公開を申し入れれば、相当の理由が無ければ公開するといった施設が増え(カルテ開示委員会といった委員会を設置する施設が増えています。)、必要な場合、自分のカルテを見る事ができ、どういった治療が行われたか確認なする事ができるようになった。

以上が、ダメになった理由ですが、情報公開は、当然必要な事であり、治療する側、される側で情報を共有する事は決して否定するものではありません。

では、何故この理由を挙げたかというと、昔と今では、状況が変わったという事なのです。
昔は、『白い巨塔』のように、医師が絶対権力を持っていたのですが、現在、その論理が通じません。また通じないことに気付かない医師もまだ沢山いると居ると言うことなのです。
これは、三菱自動車の件と同様なのですが、不正を隠す事で得られた利益より隠した事実が露呈した場合の会社の損害の方が遥かに大きい事に気付く必要が有るのです。
ですから、事故がおきた時に、その情報を公開する病院が増えたと同時に、以前なら隠し通すことができた事故もばれてしまう病院が出てきたことが、医療事故の報道が増えたことにつながっているのです。
また、前記のような、治療方法に関しても、患者さん、患者さんの家族に対しても全てを公開できるような体制を取らなければならない事を病院側が認識し始めて情報を公開し始めているのだが、まだその点に関して慣れていない点が有ると考えられます。

でももし自分が病気になった場合、治療を受けるのは自分です。全て医師任せにする事なく、自分にとって最善の治療は何なのかを納得した上で治療を受けられる事をお勧めします。