混合診療の是非

あなたが、普通に風邪をひき病院に行って診療を受け、会計の時に国民保険、社会保険などの健康保険を使ってお金を支払った場合は保険診療といいます。

 それとは別に、国保や社保を使わずに治療を受ける場合を自由診療と呼びます。例えば現在でいえば、美容整形なども自由診療になります。診療に対する報酬を自由に患者さんに請求する事が可能です。交通事故など治療費が後で自動車保険などでまかなわれる場合などもそうなります。
 
 では、実際自由診療がおこなわれているのに、なぜ混合診療を認めるように政府の規制改革・民間開放推進会議が言っているのでしょうか。
 
 実は、現在の健康保険での診療は、治療期間中の行為の中に自由診療を含む事ができません。途中で自由診療をおこなった場合、さかのぼって全て自由診療とみなされます。ですから、健康保険だったら三割の自己負担でよかったものが、全額負担になってしまいます。

 そこで、混合診療を認めようと言う動きがある。例として、乳癌の手術は保険診療、乳癌術後の再建術(見た目をよくするための手術)は自由診療でおこなわれた場合、今までだと全額自己負担にところ、保険診療は保険で、自由診療の部分は自費で負担すると言う事は患者さんにとって有益である。
 でも、保険支払者は、今まで自由診療の部分はノータッチであったものが、混合診療が認められるとそれだけで保険での支払いが増加する事になる。また医師会なども、混合診療が増えると患者さんの負担額が増えると言う論理で反対している。
 
 どのような制度も100%得をするという結論はありえない。昔で言う三方1両損での解決になるだろう。
 今回で言えば、患者側は、自己負担が増える可能性。医療界側は収入減。支払い者側は支払いの増加。
 最終的には、全体の医療費の抑制と言う結果、国の負担が減る方向に行くというのが政府の腹積もりであろう。国が得をすれば、国民の税金も安くなるのであるから万々歳と言う結論になるのだが、世の中そう簡単にいかない。この負担が減った分は国民に平等には帰ってこずに手元に来る前にどこかに消えてしまうのはまず間違いない。

私自身は、混合診療はOKであると思う。今後老人人口の増加は、医療費の増加を伴うなのは確実でありますます高額な医療費がかかる治療行為が増加するだろう。また、臓器移植などの高度先進医療が誰でもうけられるようになる可能性がある。その高額な医療行為を自由診療にしなければ、ますます国民の健康保険の負担額は増加する。その結果、低額所得者層から健康保険の加入脱退が進み、更に保険財政を悪化させるといった悪循環に陥ると予想されるからである。
 
 破綻した健康保険では、自己負担率が今以上に上がることになり、結局は、自由診療より2、3割負担が少ない結果になるおそれがある。それならば、その破綻を少し先延ばしにするために、相応の治療行為にはそれなりの支払いも必要になるのはやむ終えない。
 そこで、高額医療費の支払いができないうちの半分以上程度救える制度を新たに設けそこに税金を投入するほうがすっきりすると思う。なぜなら、健康保険に税金を投入した場合、すべからく平等に分配されてしまう。だとすると、高額所得で、自由診療が受けられるような人にも平等に税金が使われてしまうからである。

 あともう一つ、今後の医療費の増加は、国民の大多数が健康であればしないはずである。国民の健康がどうしたら維持されるかをもう少し考えたほうが良いのではないだろうか。
国には、健康保険の制度改革の他に、国民の大多数が健康な生活をおくれるような健康増進の政策をおこなってもらう事を望むものである。