中田選手引退

日本代表であった、中田選手が昨日引退を表明した。ニュースで速報が伝えられ、号外が出るなど、日本の著名人の一人であるということを実感させた。

 まだ、29歳、若いという意見も少なくないが、本人は、別な世界を経験したいという気持ちのようだ。小学生からサッカーをやり、そのまま順調に世代別の代表を経験し、日本、イタリア、イングランドと世界の一流の場でサッカーに関わってきた、その経験は、いわゆる普通の人生を歩んできた人間と比較にならないほど濃かったかもしれない。

 その経験というのは、4,50年生きてきた人間と同じかもしれない。人間色々な事を経験してくると、ある部分の欲が薄れてくる。それが、物欲だったり、性欲だったりする。きっと中田選手にとって、サッカーに対する欲も同じように、もう充分経験したものになってしまったのだと思う。
 また、年々、端から見ても体力技能の衰えが垣間見えたように思う。本人が頭に描いていたプレーを数年前の自分が出来ていたのに今の自分にはできなくなった、そこで考え付くことは、別なプレイスタイルに切り替えるか、あきらめてしまうかのどちらかである。もともと器用でない中田選手は、その辺りのモデルチェンジが出来なかったことが、ボルトンでのプレーで現れていたと思う。

 勝手な憶測だが、今のままでは、W杯後にイングランドに戻っても自分が試合に出られる保障は無いと分かったのだろう。もしそうなれば、プライドが、他のレベルの落ちたリーグでのプレイを自分で許さなかったのだろう。それが、引退という決断につながったのだろう。
 
 やはり男としての格好をつける生き方を選択したのだろうし、表面には出さない本音の部分で第2の人生をどうしたらイメージダウンさせずに展開するかの計算もあるのだろう。それには、先日のブラジル戦は格好の引退試合であった。
 
 今後、彼のことだからきっと第2の人生も順風満帆であろう。日本の片隅から今後の活躍を期待すると共に、今までご苦労様といいたい。