毎日何かが起こる

一人にとっての日常が、毎日同じように訪れ、毎日同じように終わる。それがまるで当たり前のようなことが、一度事件が起こるとてんやわんやになる。

 世間も同じように、相も変わらず事件が起こる。

 小学生をマンションから突き落とした容疑者の男が逮捕された。世間では評判の良い男らしいが、人は見かけによらないことが証明された。犯罪を起こす人は、多い少ないに関わらず、見かけではないことがわかる。

 よく犯罪が起こると、隣近所に聞き込みを行った記事や映像が登場し、「あの人は、無職で普段から挨拶もしないし、よく怒鳴り声が聞こえた」等と、悪人の印象をことさら強調しようとする。今回は、その評判が聞こえてこず、何故そんな人が犯罪を犯すのかという疑問系の放送になる。

 きっとこれも、強力な取材、および尾ひれがついた情報で、色々脚色され、普段は真面目だが意外な事実をスクープなどといった放送が出てくるのだろう。

 しかし、ここで間違えていけないのは、犯罪を犯す人間は、必ずしも普段からいかにも悪事をしそうな人が起こすのではなく、普通の人間も犯すのだということである。
 自分には、良い人であっても、他の人には厳しいという人もいるだろうし、犯罪を犯すときは見つからないように起こすのであるから、当然その人のことなど解らないのである。

 世間は、普通の真面目な人が犯罪を起こすことを恐れる。なぜなら、今にも犯罪を犯しそうな風体の人には近づかないようにすれば、自分が被害に会うことが少ないと思われたいる自分の中の序列が崩れるからである。
 少なくとも、善良な真面目そうな人には犯罪を犯して欲しくないのである。そうでなければ、おちおち生活ができない。本当に「人を見たら泥棒と思え」と生活しなければいけなくなるからである。

 しかし、これだけの人間が同時に生活し、よからぬ事を皆が考えていれば、何も起こらない日が来るのが不思議なのかもしれない。