昨日の続き

交通事故を無くすために、現在の交通量を半減すればよいと書いたが、この実現には大変な困難が伴う。

 それは、日本の産業構造を変えていく必要があるからである。

 交通量が半減する=車の台数が半分になる=車が売れなくなる

 即ち、自動車産業をどうするのということになる。

 今の日本の経済の大きな部分を自動車産業が支えている。トヨタ、日産、ホンダ、富士、スズキ、ダイハツ、いすゞ、などである。主要な生産が海外に移転しているが、それでもなお国内生産を行っている。

 もし、交通事故で失われる人間の命の重さが(むかし、よど号事件で人間の命は地球より重いと言っていたことを思い出す)自動車産業の衰退で失われるお金よりも大切ならこの政策は可能だろう。

 しかし、今の日本交、通事故に関しては、人間の命の金額が決まっている。年間の死亡者に支払われた保険金の総金額は不明(警察庁の統計によると、年々死者数が減り続けており平成17年の死者数は、6871人。自賠責の死亡時の支払い限度額が3000万なので、ざっと最低でも2000億円。)だが、その金額が、自動車産業がもたらす利益より多いとは思えないので、自動車産業が衰退する政策は、政府も取らないだろう。

 上記の計算が死亡者数だけで考えたが、交通事故による怪我や物損の損害額を計算すればこの10倍以上はあるのではないだろうか?しかも、この交通事故に関わるのは、自動車会社だけではなく、自動車保険を扱う損保会社、修理工場、病医院などがここから利益を上げている。この部分も当然ダメージを受けるだろう。

 交通事故を、半減しようとすれば、現在の既得権益者の利益も半減することを意味しているのだ。恐るべしかな。