無心が故の危険

日常の業務を日々こなしていると、勝手に体が反応している事が多い。それを熟練の技と呼び賞賛することもあるが、危険を招くこともある。

 体が勝手に動いている時は、得てして無意識の状態の事が多い。体が覚えているため間違った作業をしているわけではないので行為自体に問題は無い。しかし、それ故意識が飛んでいる事が多い。
 そうなのだ、体が主体故、脳細胞の働きが運動野主体になるわけである。そのためその行為を行った記憶をきちんと脳細胞に記憶していないのである。

 そのため、その行為を行っている時に電話が掛かってきたりすると、途端に細部の記憶が曖昧なためどこまでしていたのか解らなくなってしまう。それは見事に記憶が飛んでしまうため驚く事が多い。

 それは、いわゆる日常業務の範囲内で起きる確率が高い。例えば初めて行うことなどは、かえって慎重に行うためミスは起こりにくいものである。

 例えば医療現場などでもそう言った事故が多い所である。何時ものように注射に詰めた、何時ものようにバルブを開けた。何時ものようにスイッチを入れた。それは全て普段何気なく行っているもので何百回何千回行ってきたものであるのに、たまたま或いは偶然ミスを起こした事が多いのである。しかし、その一回のミスが重大事故を引き起こしてしまう。

 日々行う業務に慣れる事は重要だが、慣れによるミスは必ず起こる事を認識して業務に当たる必要がある。