夕張再生

北海道夕張市。昔、石炭の産地であった。地理的には、札幌に近く、空港のある千歳市に近いという利点がある。山に囲まれた街であるが環境に恵まれていると思う。

 その石炭で栄えた街は、その時の栄華を夢見、観光市として生きて行こうと今となっては無理な投資を続けてきたことになる。これも過去を振り返れば、炭鉱閉山を抱える同様な街の中では、評価された部類に入る。

 その街が突然、倒産してしまったのである。もう街としてやっていけませんと。その時は一斉に非難の声が上がった。どうしてそうなる前に手当てをしておかなかったのか。或いは、お金が掛かる施設を作り続けたのかという指摘である。

 このまま、静かに息を引き取るかに見えた。しかし、流れが変った。それは日本人の判官贔屓である。弱いものを見ると助けたくなるという善意の気持ちである。それが、これほどの支援を得たのである。
 それによって夕張は、少しでは有るが再生の道が開けてきた。とはいっても前途は明るいものではない。

 夕張市が誇るブランドといえば、何と言っても「夕張メロン」である。長年の苦労により全国に誇るブランド化に成功した。如何にそれをブランドとして維持し利用していくかが今後の鍵であろう。
 更に、山間にあるスキー場とホテルは、冬季の宿泊客を呼び込める魅力がある。しかし、バブルの頃から一時的なスキー客を誘致しようとするばかりで、毎年リピータとして訪れるスキー客に魅力のあるスキー場作りをしてこなかった。そのため、何か観光客に媚を売るような店しかなく、魅力に乏しい所があった。今後、じっくり落ち着いて時間を過ごせるようなリゾート地に変貌する事が今後の課題ではないだろうか。

 まだ、夕張は救われた所がある。何故ならこれだけ話題になったからである。今後、財政再建団体に転落する市町村のうち、まだ、2番目、3番目位は救われるかもしれない。しかし、これが段々後になればなるほど厳しくなると思われる。何故なら世間からの同情の恩恵は受けづらくなると思われるからである。
 
 財政に苦しむ市町村は、まだ、状況が悪くならないうちに公表すべきだろう。借金が少なければ少ないほどまだ救われる余地がある。夕張のように隠し通そうとして最後まで粘り、あれだけの借金が明らかになって救われる事は今後無いものと思う。

 道内には、似たような状況の市町村が数多くあると思われる。それを隠すのが、平成の合併であった。今残っているのは、合併しなくても生き残れる所か、誰も合併したがらない所のどちらしかないからである。傷が浅い所で再生の道を歩んで欲しいと願っている。