夜半に降った雨で、朝の空は澄み切っていた。雨に濡れた芝生は、緑の色を鮮やかに際立たせている。
何もかも洗われたように感じる。
まだ、木々の葉は、緑色をしているがもう少しすれば、並木の葉も色づき始めるのだろう。しかし、今年は、中々朝晩冷え込む日が遅くなりそうなので、10月末ぐらいまで紅葉は遅れそうである。
そう言えば、あれだけうるさかった、セミの鳴き声がパタッと止んだ、あの泣き声も先週には聞こえなかったように思う。
今は、コオロギやスズムシの声が微かに聞こえるだけである。
雨上がりの道を散歩するのは、楽しい。
小さな水溜りを避け、回り道をする。歩くときにすれ違う散歩させている犬も心なしか足元の毛が濡れている。
風が吹くたびに、少し冷たい風が体の脇を衣のように吹き抜ける。日差しは、雲の間から地面を乾かすかのように照らす。
帰り際に、足元に転がる、イラガの幼虫に驚き立ち止まる。葉っぱを食い散らかしたと見えて丸々太っていた。余り見つめるとその姿の気味悪さに直ぐに立ち去ることにした。
もしかして頭の上から落ちてこないか少し気にしながら家路につく。