勤労感謝の日

勤労感謝の日は、以前は新嘗祭と呼ばれていた。

 自分が住んでいた実家のあたりでは、新嘗祭と言い、農家の人々が秋の無事な収穫を祝い、村の集会所でお祝いをしていた。
 勤労感謝の日は、戦後に作られたものであるから、戦前に生まれた人は、新嘗祭と呼ぶのが普通だったのだろう。

 自分は、戦後生まれであり、学校で日本の祝日の名前を覚えた際は、勤労感謝の日と覚えさせられた。

 今となっては、勤労を感謝するということはなく、ただ祝日が増えただけという感覚の人が多いのではないだろうか。それも、その祝日の意味を大人が教えてこなかったというか、どうして11月23日に勤労を祝うのかという意味づけをしてこなかったのが原因である。
 戦後、神道の行事はことごとく言い換えられ、それに対して右といわれる人たちはその行事を残すため別な名前を付けて残そうとした。その結果がこういう事態になってしまったといえる。確かに新嘗祭の収穫を神に祈るという行為は、宗教の影響を遠ざける憲法の理念からは認めるわけにはいかないだろう。
 まあそうだとしても、秋の無事な収穫を祈るという昔からの行事を伝えていく必要があるだろう。
 人間、食べ物なくては生きていけない。そのために人は働き作物を育てるあるいは売り買いにより得てきたのである。そのことに関する感謝を年に一度でも良いから考えることがあって良いと思う。

 長々と色々書いてしまったが、自分自身も子供にその起源を伝えることもなく休日をゴロゴロして過ごしているわけで、良い大人の代表とは言い難い。
 まあ、それも人間であるということで勘弁してほしい。