UFO論争

国会議員も、戦後生まれが主流を占めるようになると、色々自由な意見を言えるようになってきたらしい。

 その一つが、UFO論争である。そしてその発言者である石破防衛大臣は、真面目にUFOに対する備えを考える必要があるという趣旨の発言をしている。

 確かに、正体不明の宇宙人が日本に侵略を企てたときそれに対する法律の整備はどうするのかという議論は必要である。しかし、この議論まかり間違えば、どこまで備えをすればよいという限界を超えた議論になってしまう。

 何故ならUFOの装備、攻撃力が未知である。例えば、核爆弾が通用せず、相手の攻撃力が核爆弾を超える攻撃力を能力があれば、地球上のどの国の軍隊も通用しないのは明白だからである。

 しかし、この場合その想定する戦力は未知であるから、現代の技術力で最高のレベルで無ければならないことになる。

 それは、まさしくハリネズミの理論である。

 ハリネズミの脅威を知っている動物は、ハリネズミを攻撃しないが、ハリネズミの脅威を知らない、又は、ハリネズミの弱点を知っているなら簡単に食い殺されてしまう。
 ハリネズミのあの尖った針も相手を傷つけることなく、身内の攻撃或いは、ハリネズミの針の脅威を知っている動物のみが怖れるだけになる。

 最高の努力が必ずしも最高の方法にはなりえない。その針を装備することで相当な損失をこうむることも現実にはある。
 それでは、日本にとって最高の装備は何なのかという議論をまずしなければならないのではないか。いたずらに戦闘機を購入し、自衛隊員を準備し、更に軍艦を所有することが日本の平和の維持に役立つのかと議論である。

 更に、先頭に備えるためには、訓練が必要であり、訓練用に弾薬を用意し、いざという時のために装備を点検し、自衛隊員を教育する。すべて費用が発生し、周辺諸国に圧力を掛ける。そしてそれに反応して周辺諸国も装備を増強すれば、又いたずらに脅威を増強させるだけになる。

 UFO論議は、まず備えではなく、まず今の日本の軍事戦略を明らかにしなければならない。