道内 地方自治体 再編

道は、道内の地方自治体病院の再編を目指すという

 そもそも、本州と北海道の違いは、その地域性にある。本州であれば、隣り合う県が少なくとも一つ以上存在するが、北海道は、隣り合う県を持たない島国と言ってよい。

 道内の地方自治体病院の運営は、何十年も前から厳しいと伝えられる所がありその数は年々増加している。毎年、かなりの赤字を出していても、その赤字を、補填或いは、補助という扱いで自治体が負担してくれていたため表面化しないだけであった。

 現に大都市の市立病院も、毎年、億単位の赤字を出し、それを自治体から貰う補助金で穴埋めしているというのが現実である。
 実は、これが問題でもあるのだが、地方自治体にある公立病院の多くが赤字を前提として運営を行っているということである。大都市の場合、周囲の私的病院が、赤字を出さずに運営されているのを見るとまだ経営努力が足りないと言わざるえない。

 大都市の病院はそれでも、今後の経営努力いかんではまだ救われるものがあるが、人口の少ない地方の病院はというとそうも行かない。
 地方の病院は、診療の科目が普通、内科、外科である。それも勤務している医師が全ての病気を治療、診断できるわけではない。多くの場合は、専門の医師の居る大都市の病院に紹介することになる。
 そこで病院の役割は、大病院に紹介するための病院となり、実際治療し診察する患者さんの大半は、医療費の掛からない慢性期の患者さんのみとなり、年々医療費の削減が続く中では病院の収益が上がらない構造になってしまうのである。

 また道内には、医学部を持つ国立、公立の大学が3つあり、毎年数百人の医師が誕生しているはずであるが、道内の医師数はそれ程増加しない。研修医制度が始まったということもあるが、実は根本的な問題は、入学者に多くの道外からの学生が含まれる。その学生がそのまま道内に残らず出身地或いは都会の病院に戻っていく。
 また、道内から道外の大学の医学部へ進学した学生が道内に戻ってくるかというとそうでもなく、その出身大学の近くの病院に就職したりする。
 
 もし、3大学の学生が全て今まで道内で働いていれば、医師不足など起こり得なかった可能性もあるが、それは極論になってしまうだろう。

 地域医療の問題は、大都市以外の地方の住民にとって死活問題である。それを何とか解決しないわけにはいけない。
 そこで当面の医師不足問題を解決する方法として、需要と供給のバランスを確保するということになる。
 そこで供給を確保するために、医師の就職先を限定させる必要がある。その方法の一つとして、47都道府県に存在する国公立大学の医学部の出身者は、その出身大学のある都道府県以外就職できないという規制をかけるのである。当然それは一生ではなく10年程度の年数制限は必要だろうし、その学費も全て免除或いは可能な限り定額の費用にする必要がある。また、学術的な交流も必要なため、卒後研修の病院は、その縛りを外し、自由に選択できるとし、研修が終われば大学所在地のある都道府県の病院に勤めることにするのである。
 その間に留学などをした場合は、その期間を10年の年数に組み込まないとすれば公平性を確保できるのではないだろうか。

 その需要と供給のバランスを確保した上、或いは将来の確保を担保したうえで自治体病院の経営に言与しなければ片手落ちの政策論議となる。
 また、自治体病院の経営努力は、まだゆるいといわざる得ない。一層の努力は必要だろう。しかし、需要と供給のバランスを言うのなら、僻地に有る病院ほど医療環境を良くし、何らかの待遇を良くしなければならないのも事実である。その辺りは、地方自治体に向けての何らかの補助金を国が出す必要もあるだろう。
 
 医療は、生きていく上で重要な政策である。医療の質に地域格差があっては、憲法の保障する平等は実現されない。田舎に住んでいるという理由だけで平均寿命が変わってしまってはいけないだろう。

 色々問題のある医療政策。きっと机上の理論だけで物事を考える人が考えているのだろう。遠く離れて起こる物事が、手元で簡単に解決できたら簡単なことだろう。しかし、現実はそう簡単に行かない。