吉凶

何やらうれしい事が続くと思ったら、その途端悪いことも続けて起こる。人生において、人の運は平等でないと信じている自分であっても、何やら運不運のバランスは限りなくプラマイゼロになるのかと信じてみたくなるこのごろである。

 まいったと言うしかないし、そのまいったも時間が来ればそのうち解決されるのは分かっている。自分も時間がたてばこの世からいなくなるわけで、その時点で悩みなど消え去ってしまうことである。

 それにしてもこの一時が苦しいばかりにすべてを投げ出そうとする人がいるのもうなずける。自分のこの些細な悩みでさえ人生を悲観してしまう時があるのだから、もしこれ以上の悩みがあるほかの人にとって、直ぐに解決する方法があると思えばそれを選ぶのも頷ける。
 
 人としてこの世に生を受け、更に平均寿命を生きたとしても、地球の歴史に比べれば些細な時間である。その人の名が残るのも限られたものの特権で、普通一般に生きてきたものはその歴史のほんの片隅にも残らず消えてしまうものである。
 その歴史の中の些細なことに悩むこと自体、とるに足らぬことなのだろう。時がたてば、その悩みの余りの小ささに腹を抱えて笑うこともある。あるいは忘れえぬ傷になるのかもしれない。