地上の蟻

中島みゆきさんの曲に「地上の星」という歌がある。そうあのProjectXの主題歌である。
 あの歌は、世間的には無名だが素晴らしいことをした人を星と例えた。ではその他大勢はどうなのか?

 きっと蟻だと思う。

 地上にせっせと巣穴をつくり地中深くまで掘り進む。働き蟻は餌を求め地上を徘徊し、獲物を咥えて巣に戻る。巣穴では女王蟻が卵を産む。
 その働きは、自然の何に影響を与えているかといえば何も思いつかない。もしこの地上から蟻が消え去ったとして困ることは無いように思える。困るといえばアリクイくらいか。

 それと同じように、人間は地球にとって大切な生き物かというとそうでもない。地球の表面をせっせと掘り起こし、地球にとってニキビのような建物を作り、火を燃やし、音を立てて走り回る。そのどれが地球にとって大切な作業をしているのかと問われれば、人間は地球にとって蟻と同様な存在な訳である。

 何故こんなことを考えたかといえば、通勤のため駅に向かう人の流れが天空から眺めれば蟻の群れのように決められた道を進む動きに見えるだろうと思ったからである。

 人間の目線で見た蟻は何の感情も無く動いているように見える。何か障害物があればそれを上手く避けていく。あの体に存在する知性の素晴らしさに感動を覚える。
 もし天空に神が居るとしたら、同じように災害にあいそれを避けたり、壊れたものを
新しく立て直したりする姿に感動を与えるだろう。もし意地悪な神様が居れば、わざとに水を流したり火をつけたりするのだろう。そしてうろうろする様を楽しんでいるかもしれない。