代々木迷走記ー2

誰も期待はしていないと思うが、続き。

 そしていつの間にか、東京体育館にいた。つまりひよったわけである。

 何故って、あと2時間半以上あるわけだ、それをあそこでずっと座っているのに耐えられなかったのだ。そして、HOTELのTVで見たあの大会である。少しミーハーでもあった。

 会場は、4面を使って行われた。4面同時に行うのだから見るほうは大変である。よそ見をしているといつの間にか一本で試合が終わっていたりする。更に遠くだと選手の顔が見えないので苦しいのか疲れているのかいまひとつ分からない。

 それにしても、柔道も変わった。あの高校時代経験した柔道は、武道だった。礼に始まり礼に終わる。それがあった。
 
 しかし、目の前で今行われているのは、JUDOであった。スポーツであり勝ちにこだわる潔さとか敗者をいたわると言うものではなかった。

 何故そういうかというと、休むためにゆっくり帯を締めなおしたり、正々堂々と組むこともなく、何時までも組み合わない。何か別なものに変わっていた。見ていて面白くも無い。投げる投げられるが柔道だろう。

 そして、今日一番の選手が、井上康生選手である。しかし、あの昔の強さは見られない。内股を掛けるのだが、決めようという技ではない。あれでは優勝できそうも無いと見ていた。生では見られなかったのだが案の定負けていた。

 そして午後5時になったので席を立つ。やはりサッカーにすれば良かったと思ってしまった。

 東京体育館を出ると千駄ヶ谷駅は人の波で埋まっていた。これはさすがに失敗したと思った。切符販売機の前は黒山の人だかり。これでは電車に乗り込むのにどれ程掛かるか分からないとその時思ってしまった。
 それが第2の迷走の始まりだった。そして人混みを掻き分け、目指したのは代々木駅だった。後で考えれば本当はあそこで我慢して待っていれば良かったのだ。それができないのが親父なのだろう。

 しかしここでまた間違ってしまう。代々木駅にもう少しと言うところでまた別な方角に曲がってしまった。行けども行けども代々木駅は見えず。そして見えてきた駅は何と新宿駅であった。東京の駅間の距離は近いのだと言うことが良く分かった。北海道なら次の駅まで何時間掛かっただろう。

 漸く電車に飛び乗ると、目指すは羽田。そして何とか搭乗開始前にギリギリ到着してやっと一息ついた。
 あほな一日を過ごしてしまったと後悔しているが、まあ良い記念になったと思うことにした。それにしても昨日は何キロメートル歩いたのだろう。優に20キロメートルくらい歩いたんじゃないだろうか。疲れた。