医師不足

北海道では、ものすごい医師の流動が始まっている。これは、研修医制度が始まった時と一致している。
 今までは、医局という制度が、医師の出身大学以外の他の大学の医局に移動することは難しかったが、研修制度はそれをひっくり返してしまった。

 大学を出た学生は、以前なら出身大学の医局に残り何年かそれ以上の年月を医局の命令の元地方を渡り歩くことが常だったのだが、研修医制度は他大学の支配していた病院に容易に研修に行くことができるようになった。

 それは、経験の浅い医師の修行という面では効果はあるし、医師を育てる意味では良い方法であるが、医師が集まる施設と集まらない施設の格差ができてしまった。

 まずはじめに大学の医局に研修医が残らなくなった。そしてその煽りを受け地方の病院から医師の引き上げが始まった。それと同時に地方の病院は研修医を育てたり指導するマンパワーが不足することである。
 地方の病院には余程のことがない限り研修医が行かなくなった。

 次第に、評判の良い病院に研修医が集まり始める。さらにその医師数の増加は、病院の患者受け入れの増加につながる。するとその病院に患者が集まり始め、収益が上がる。収益が上がれば、医師の定員数も増加し、更に病院に医師が集まることになる。
 
 それがすべてとは言わないが、まるで上昇気流が上がる場所に周囲の風が引き込まれるように医師が集まる煙突効果である。


 解決する方法として考えられるのは、人、物、金が集まる病院に資金を投入しその代わりにサテライトの病院を作らせるか、作ることにより病院にメリットがあるように変えていく。
 それは、キー病院を中核とするハブ病院化である。それは今の日赤、厚生連、共済組合などの系列病院組織にお金を投入することになる。

 それは、新しい医局制度の始まりを生む可能性がある。

 もう一つの方法は、医学部の学生の定員を2倍にすることである。それで生まれた医師は社会の選抜にすべてをゆだねることにするのだ。競争である。

 その見本が今の弁護士制度ともいえる。

 それによる弊害はまた生まれる。粗製乱造である。

 どちらが少ない資本の投下でより効果を生むか?