船場吉兆

冷たい風が吹いている。空は雲が厚く垂れ込み、日中晴れるとは信じられない空模様である。気温も10度前後と3月頃に逆戻りしてしまった。

 船場吉兆が廃業してしまった。とはいっても一度も利用したことが無いわけで、店がどうなろうと我が身に影響を及ぼすことは無い。
 
 しかし、この件、不景気になればどんな店だろうと廃業せざる終えない。そしてニュースにならないのが当たり前のようにひっそりと店をたたむ所のほうが多い。
 北海道などでは、つい今まで店の看板の明かりを灯していたと思っていたら、次の日からシャッターがおり、休業を知らせるA4の紙が貼られてお終いとい風景を良く見る。

 船場吉兆の場合、悪い意味でこれ程騒がれ店をしまえたというのは別の意味で名を残したと言うことでは無いだろうか。

 今回のことは、白い恋人赤福ミートホープ、地鶏、船場吉兆と立て続けに起きた一連の食品にまつわる偽装であった。それでも前2社は何とか会社を持ちこたえることができた。しかし、それ以外は廃業と言うことになった。この違いはどこにあったのだろう。

 今回の件のキーワードは、内部告発、マスコミ対策という2つの言葉に尽きるだろう。
 内部告発は、やはり従業員に不満がある場合おきやすい。それを封じ込めろと言うのではなく、その不満を社内で吸い上げ如何に対応をとるかと言うことにつきるだろう。
 
 今回のミートホープの件も、社員が内部告発しても最初は問題になることが無かった。この時点で改善を行っていれば、今でもミートホープは存続できただろう。
 内部告発も、日の目を見るまで長い時間が掛かると言うことが判った。また、同様のことが全国で何十件もあるのだろう。あるものは明らかになり、あるものはそのまま闇に葬られているのが現状だろう。だから初期の対応が明暗を分けると言っても良いだろう。

 もう一つのマスコミであるが、これも一見正義を装っているが、実のところそうでもない。それぞれの所属が会社と言う営利企業であるから、力の加減でどのようにでも反応する。その影響を受けて動いているのは明らかである。自社の不利益なことは明らかにしたがらないのは当たり前とも言える。
 もし、ミートホープが何らかの権力を持つ勢力とつながりがあれば、廃業にまでは追い込まれなかっただろう。これは、食肉の偽装を行った大手企業がそのまま営業を続けていることでも明らかである。
 
 それで言うと、船場吉兆もたいした名店では無かったということである。まあそれでも、自分の食い残しや他の客の食い残しがだされていたと知ったら、有力者が客に居たとしても匙を投げたに違いないのだが。

 実際のところ解決策は、内部告発者を出さない営業を心がけることと、出てしまった時は迅速に対応すると言うことだろう。この対応が未来を決めると言うことである。