朝もや

窓の外は、隣の家しか見えないほど朝もやが掛かっていた。海からの暖かい湿った空気が内陸まで吹き込んだせいだろう。不思議なもので、これはある特定の地域に存在する。丁度吹き溜まりに煙が溜まるように。そのため、一種異様な景色に変わる。人は皆同じ事を思うのだろう。霧に覆われたシーンは映画に良く使われる。それもスリラー、サスペンスに多い。そんな朝だった。しかしこれも太陽の日差しを浴びると急速に跡形も無く消え去ってしまう。これが一日中続くようなら確かに生活する人も息苦しくなるだろう。アメリカに端を発した世界同時株安も今は小康状態である。昨日は日経平均は少し値上がりしただけで終わった。この株価でだいぶ買いが入ったのだろう、今日の開始は、売りから始まるのだろうと思うが、世界のだぶついた金がどの市場に集まるのか皆目予想もつかない。一時期、被害が少ない日本の株式に資本が流れると予想される人もいたが、世界は日本を余り信用していないようだ。この先のことは余りわからないが、今回の恐慌は世界を保守的にさせたのは間違いない。自分たちの利益を如何に守るかが世界の趨勢になったはずである。過去の恐慌の時期と同じように、自分たちの既得権益を守るため各国間の小競り合いは増えるだろう。本当はここで国連の出番なのだが、今となっては無力としか言いようが無い。