川崎 vs 札幌

昨日の試合。ここまで来ると、楽しみを見出す事は難しい。それは選手にとってもそうだろう。来季指揮を執らないと予想される監督の下で、更にJ2落ちが確定した今、何をモチベーションとするのだろうか? 例えば昨日の試合で勝利を収めることがチームにとってどんな喜びがあるのか、それが不明確なまま試合に入ったわけである。試合の序盤、札幌も懸命に攻めようとしていた。しかし、思ったより川崎が前に出てきて徐々に歯車が狂ってしまった。相手のパススピードに足がついていかず、パスを通されたときの戦術が不確実だった。選手は、パスを通された選手に当たりに行くがその選手は既に別な選手にパスを通す。ここでボールを持たない選手に、札幌の守備は2人とか3人とか向かっているのだから、フリーの選手がどうしても生れてしまう。この動き、当初の頃とは大分違う。最初の札幌は、ゾーンを守り入ってくる相手を抑える可能な限り狭い範囲で守備をする事で、守備者の技量の差を埋めると言うものだった。しかし、これも相手の技量が上回れば、簡単にその範囲を崩されてしまうと言う事がわかり、可能な限り隣接するゾーンの選手、或いは、守備のフリーマンと言えるボランチをそこに救援に向かせ相手との数的有利を保とうとするようになった。変則的なゾーンディフェンスになりその守備範囲を能動的に変化させるように変更してきたわけである。しかし、そうなると全員が自陣のゴール前に戻ら無ければならない。そのため攻撃の時どうしても数が少なくなるという欠点があった。そこで指揮官は、攻撃の時は全員がラインを上げ攻撃の人数を増やそうとしたのだが、その上がりばなでボールを奪われ相手に反撃を食らうというパターンが続いた。その中盤でのパスミスは、J2時代でも結構あり相手に良くボールを渡していた。その頃から技術的に何も進歩はしていないのだが、そのパスがどうしても上手くならなかった。そして反撃を食らう事が判るとどうしてもディフェンスは下がる。これは、点数を入れられるとディフェンスが非難されるからでもある。昨日は、それが見事に出た試合だった。ボールを相手に良いように回され、しまいにはそれについていけずボールを見るだけ。遊ばれている状態である。相手に攻め疲れで一点を返す事が出来たが、それが札幌の状況を変えたかといえばそれは無い。次につなげられる試合かといえばそれも無い。この先発の選手たちで、何をしようと言うのだろうか?相手に胸を貸してもらう状況で、戦い続けるための意味を見出す必要がある筈である。それが出来なくて何をしたいのか良くわからず札幌にとっての試合は終わってしまった。