零下30度の世界

零下30度というと、丁度、冷凍倉庫の庫内温度くらいだろう。そうあれである、凍ったバナナで釘が打てるというCMの世界である。年配の人は良く知っているだろう。

 昨日の朝は、そういう日だったようだ。今日の朝も寒かったが、昨日の朝のように樹氷までとは行かなかった。
 家の前の地面もこの強烈な寒さのため盛り上がり、そのためアスファルトにひびが入ってしまった。アスファルトも一度ひびが入るともろいもので1,2年すれば修理が必要になる。これは痛い出費である。

 今年は、灯油が値上がりしてしまい、この冬を厚着で過ごすといっていたあのTVの中のお婆ちゃんは元気で暮らしているのだろうか。南極基地ではないが本当に今年は越冬である。

 そういった中、北海道出身の町村官房長官は、寒さより道路と言っているようだ。確かにこの冬の寒さも2,3ヶ月すれば消え去ってしまう。更に道路の維持は大切である。町村さんの暮らしている家はすきま風も吹かず一年中快適な温度で調節され、更に光熱費は、国民の税金から払われているわけで地元のこの寒さを知らず暮らしていらっしゃるのだろう。
 そして道路の整備は、自分の選挙区を回るために必要不可欠であり、選挙カーが道路に空いた穴にでも落ちようものなら縁起が悪いし、更にパトカーに先導され道路を高速で飛ばすためには平らで広々としたものでなくてはならないということは理解できる。
 
 これはあらかじめすべて用意されていた人と、あらかじめ全てが用意されていない人の考え方の違いなのだろう。町村さん個人は、元北海道知事の息子として大切に育てられ、東大をで、若くして国会議員になり、人生の大部分、北海道で離れて暮らしている。そこにあるのは高層ビルのマンションから下界を見渡し、庶民の生活を思いやる発想なのだろう。
 
 これは、町村さんのみならず殆どの国会議員がそうなのだ。だから町村さんのみが悪いのではないことは重々承知しているのだ。
 しかしそれは、格差社会の助長を国会議員自ら行っていることに他ならないと考えるのだが。

 高層ビルを吹く風はどのようなものかそこで暮らした人しかわからないのと同様で零下30度の寒さも実際にその寒さの中で立ち尽くさなければわからない。
 いくら防寒着を着込もうとも、その寒さの中に3時間でも居れば、本当に冷凍マグロのようになってしまうことだろう。

 今回の寒さ、家の中で凍死したと言うニュースが流れてこないので、まだ道民は幸せかもしれない。もし貧しい国なら、冬場にこの土地で暮らす人は殆ど居なくなるだろう。
 それだけ国は豊かになったということになる。だから格差社会といっても、底辺は他国の底辺と比べればかなり豊かなのだということが良くわかる。