風化そして劣化

空には薄い雲が広がっている。そしてその薄い切れ間から朝日が差し込む。このまままた週末は天候が悪化していくようだ。
 
 先日の低気圧の強風が、家の壁の一部を壊していった。被害と言っても自分で補修できる程度のものであるのだが。休みがこなければ纏まった時間が無いのでそのままである。

 しかし、あるべきところに僅か数十cm四方のものがないだけで、すごく見た目が変わるものである。何か家全体が壊れかけているように見える。
 更にその結果家全体を良く見ると、壁の塗装も色あせたところが所々にあるのである。今までそんなことは露ほども考えたことも無く、何時までもきれいなままの状態で存在すると勘違いしていた。

 それを考えていると、何やら自分が非常に劣化している或いは、劣化したように見られているのだなと思った。
 自分が気づかないうちに徐々に顔の皺は増え、髪の毛は薄くなり、腹の周りに脂肪は増え、見た目は既に劣化しているのだということである。

 それを今回の事で気づく自分に苦笑いである。

 そう考えると20年前にあれほど華やかで何もかも新しく美しかった町並みや建物も恐ろしく古び始めているのが判った。立ち並ぶ建物の壁にはひびが入り、コンクリートの上の塗装は所々はげている。
 いつの間にか町全体が風化しているのを感じたのだ。今まで気づいても気づかないふりをしていたのかもしれない。更に補修をしているのだが、余り目に付かないところにそういった点が散らばって気になるとそういったところばかり探している自分がいる。

 さて後はこのまま朽ち果てるばかりなのだが、さてどれ程補修が必要なのだろう。