医療現場の崩壊

曇り空が広がっている。雨は降らないようだが霧のようなものが時折掛かる。
 7月に入って曇り空は常態化している。それでも気温は高めなので湿度は高い。まるで梅雨最中である。


 医療の崩壊が叫ばれて久しい。それが始まったのは、患者の権利が叫ばれて来た頃からだろう。それまでは確かに医療側の権力が高く、患者側は耐えていたに違いない。
 しかし、患者の権利が叫ばれてきてから状況は変わり、医療提供者VS患者、そしてそれがサービス提供者VS医療サービスを受ける側という流れになり、風潮は患者側に対してお客様という流れが作られた。

 決して昔が良かったということではない、患者の意思も尊重されるべきで当然の権利というものは必ずある。しかし、一部の患者は、医療をサービス産業と勘違いするものも現れた。医者は、病気を治して当然と考えているのである。
 病気は治せるものと治せないものがある。治れば幸せである。治せないものに対しても同じく努力を行っているわけである。
 
 そして同じ頃医療を提供する側にも変化が現れた、昔なら医は仁術であった。しかし、そう思う医療者は医師を含めて徐々に少なくなっている。
 患者が権利を主張するなら、自分たちも権利を主張する。医師不足の折り、自己主張を強め始めたわけである。

 自己主張の余り、医療者同士が仕事を押し付けあうのである。それは自分たちの仕事ではないと。するとどうなったか、仕事が廻らなくなったのである。まさしく学級崩壊である。
 その放棄された仕事は、数少ない医療を仁術と考えるものが引き受ける。すると多くの仕事がその善良な人に降りかかってくることになるのである。当然その人は疲弊する。そしてやめていくのである。
 医療に必要な人材が辞め、不必要な或いは再教育が必要な人材が残る。そしてその医療施設は遠からず潰れていくだろう。
 そしてその不良品の医療者は別な所でまた同じ行動を取るのである。

 日本の医療は、崩壊している。それは表面だけではなく内面からなのである。善良な医療者が医療を提供できる環境を作らなければならない。しかし、国は、お金が第一で将来のあるべき医療の姿を示してはくれない。