サクシンの問題

曇り空が鬱陶しくなる。今日も雪がちらつくらしい。外は氷点下である。  医療事故が起きた事件。 本当の原因は、医師と看護師のコミュニケーション不足である。と断定してしまえば話が終わりなのだが、電子カルテシステムが普及して会話をしなくても指示の伝達が出来るようになってから、意思の疎通不足が益々酷くなってきたと言える。 今回の注射薬は以前から間違いを起こしやすいとして注意が喚起されていた。この点では、手書きの注射箋の時代でも、医師の手書きの文字が汚くて読めないと言う事があり医療事故を引き起こしやすいという問題があった。 更に、今回は、サクシンを受け取った看護師から「本当にサクシンでいいのですか?」との問い合わせがあったが、医師には「サクシゾン」と聞こえたため、「いいよ」と答えたという。 点に問題もある。 病院の会見では、電子カルテ上には、サクシと入力してサクシン一剤しか表示されなかったという。 ここで想像されるのは、医師の認識でサクシンサクシゾンが同一薬物であると思ったのではないだろうか? 普通なら、サクシン=筋弛緩剤という発想は、医師なら当然持っているだろ。それが出来なかったということは、何らかの状況で判断力が鈍っていたとしか言いようが無い。  電子カルテは、言われた指示を正直に指示として流す。きっとこの薬にも何らかの注意を促す仕組みが取り入れられていたと考えられる。しかし、その仕組みは、日常的に表示され毎回表示されるがために、使用する側は、反射的に「OK」を押すようになり、何の抑止力を持たなくなる。 一度「OK」のボタンを押せばコンピュータはそのまま指示を流す。その指示は、薬剤師、看護師と流れ作業のように伝わり、更に電話で確認した時点で最後の関門を突破し、指示が実行される。 色々な仕組みで、医療事故を防止しようとする。人間が間違いを起こしやすい生き物だと言う事でそれに機械が介在するようになる。しかし、機械がルーチンの作業の流れに入ることで作業に時間が掛かるようになり、中にはその指示を無視する人間が現れるようになる。更にその機械の操作方法を習熟していないばかりに操作を誤ると言うミスを起こす。 いくら人間のミスを減らそうと努力しても、その行程が複雑になればその仕組みを作り上げるときにプログラムミスなどで更に危険度を増してしまう事がある。 本当に事故は永遠に無くならないと考えてよい。 今回の事故で、病院のシステムは変更されるだろう。更に全国の医療機関に通達が来るだろう。 今後この事故を減らそうとするなら、「サクシン」という商品名を類似の名前が無いものに変えるべきだろう。