嘘像

空には、ところどころに雲が浮かんでいる。少し朝焼け気味である。その日差しは、外の寒さと相まって普段なら感じる筈の温かみを感じさせない。 とうとう11月も明日で終わりである。来週は、師走という事になる。今日の朝のTVでは、この時期に及んで暢気な事をのたまわっている暢気父さんが沢山映っていた。 テレビの前の奇麗事は聞き飽きた。良くTVに顔を出す、自民党の広報担当らしき議員の国民のためと公言する影で、自分の保身のためなら前言を翻す姿が醜すぎる。 更に自分の言葉に酔うタイプでその場をごまかすしゃべり方は、国民の信を得る事は無いだろうと思うが、それにだまされる国民が多いのはどうしてと思ってしまう。 それは、自分の姿を鏡で見たときのゾッとした思いに通ずるところがある。自分の意識の中では、自分の存在は健康的な若々しい姿なのだが、鏡で実在の姿を映し出したときそこに別人がいると思うときである。 頭の中の想像の回路と実在は違うのである。 ここでは、国会議員ということになるが、TVに映る姿は、誠実で聡明で絶対悪いことを起こさないと思う思い込みが頭の中で虚像を作り上げるのである。 一度それを作り上げると、本当に裏切られない限りその虚像を振り払う事はできない。 人間は、簡単に虚像にだまされてしまう。疑り深い人ほどそうかもしれない。しかし、まだTVならだまされた事に対してほんの些細な失望で終わるが、現実世界でだまされたときほど辛いものはないだろう。 しかし、その繰り返しかもしれないし、また自分も同様に他人の虚像を自ら破壊しているかもしれない。