後期高齢者

 空は、白い雲が低く立ち込めている。時折、雨粒がぱらつくが大降りにはならないだろう。このまま1日曇り空が続くだろう。外は12,3度というところか。

 今日はこのニュース。

引用 日経ネット(http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20090605AT3S0401T04062009.html

 診療報酬、75歳以上「別建て」廃止へ 厚労省、2年で方針転換

 医療費の膨張を抑えるため、2008年度に導入した後期高齢者医療制度の枠組みの一部がわずか2年で修正を迫られることになった。厚生労働省は75歳以上に限定して医療保険から病院などに支払う特別な診療報酬を10年度にも廃止する検討に入った。診察回数などに関係なく毎月一定額に抑える仕組みが柱だったが、医療機関の利用が増えなかった。廃止しても患者本人の負担は大きく変わらない。一方で、医療費の抑制策の練り直しが必要になりそうだ。

 

 また厚労省の方針が変わった。この制度ができた時も唐突であったが、それが2年で廃止される事になるとは全く持って理解不能である。

 そもそも人間を75歳で区切り、更に制度上の不備、不満からいじくられ、それで進むかと思いきや2年で廃止になるとは、全く持って理解に苦しむ。

 制度ができた時、後期高齢者とは何ぞやと国会で指摘され慌てて長寿医療制度と言い換えた時には笑ってしまったものである。

 そして今度の展望も無く廃止の議論が行われるという事は、今後の医療の行く末を案じさせる。

 そもそも、後期高齢者制度は、迫る高齢化社会に備えて今後急激に増加する医療費を所得に応じて高齢者にも負担して貰おうというものだったはず。

 75歳といっても、現役で高収入を得ている人もいれば、国民年金の範囲内で暮らしている人もいる、そこで所得に応じて医療費を負担すれば、少しは医療費の予算に占める割合を減らせるというものだった。

 今後若者の人口は減り続けることを前提に考えれば、勤労者世代が負担する保険料の負担を減らす事が出来ればそれに越した事は無い。更にその世代は元々病気になる事も少なく、受益者負担の考えから言えば、老人も相応の医療費負担があるのは仕方が無いことであると思う。

 しかし、これも収入が無い世帯の少ない年金から保険料を徴収すべきという事ではない。

 

 今後、医療費はドンドン増えるだろう。それでもこの不景気化で入院も徐々に抑制されている。そして赤字の病院は徐々に増え続けているのが現状である。この赤字の病院の生理整頓も自由競争に任せ政府は何も行ってこなかった付けがここに来て表れている。

 しっかりした医療を提供できる病院は残し、そうでないところは政府主導で整理するべきだったのだ。競争できないレベルの病院も今まで生き延び赤字をせっせと蓄えてしまった。それが今の自治体病院である。

 入院すべき高齢者の入院が無くなり続ければ、今後自治体病院の赤字が増える。そしてそれを経営する自治体も赤字団体に転落していくことは目に見えている。

 この赤字を解消しないで、また医療費が増加した場合、本当に日本は終わってしまうだろう。国の税収は底を尽き、無策な国会議員は、自分の責任では無いとほうかむりをする。悪いのは政策を立案した官僚だと。しかし、それを国会で決めた議員が責任を取らずに何とする。本当に議員は特権階級になってしまった。それだもの議員は自分の子息を跡継ぎにしたがるわけである。

 後期高齢者制度は、壮大な実験に終わってしまった。何も国民にメリットをもたらさず終焉を迎えたといって良い。しかし、今後の医療費の増加をどう対処するのだろう。この穴埋めに消費税を上げるなら、消費税は天井知らずになってしまうだろう。