雲が空一面を覆い、何時雨が降り出してもおかしくない。天気予報は曇りなのでこのまま雨が降らずに終わるのだろう。少し涼しいくらいの気温である。

 本州では昨日、38度後半の気温だったという話だが、まだここいらでは真夏日になっていない。それ程7月は涼しい日が続いている。

 最近庭弄りをするようになって、蟻の姿が目に付くようになってきた。彼らの存在は、余りにも小さく普段道を歩いていても気になることはない。何気に足元を見ると彼らが忙しそうに動いているのが目に入るくらいである。

 そこで少し小難しい話になってしまうのだが、蟻は何故あのように生活しているのかという事である。餌を探し大きな巣をつくり集団で生活する目的である。

 蟻の体を良く見ても、自分たちが生きる目的を考えるような大きな頭を持っているでもなく、何かを作り出すような構造も持たない程小さい。

 それが地面に巣をつくり他の蟻たちと共同生活を送り、自分たちの食糧を調達するために共同作業もする。その仕組みがあの体に組み込まれている事が信じられない。

 もしかするとあの蟻一つ一つは部品であり、全ての蟻が集まって一つの固体として物事を考え行動するように出来ているのだろうか。

 それは人間の体が、多くの細胞で出来ておりそれが合わさって人間として行動するように、蟻も目に見える固体が蟻というものでは無く、群れが蟻の本当の姿だとするなら合点がいく。

 その群れ全体の思考が、自分たちの存在を形作っているのだろう。という事は、人間が考えるよりも高度な種なのかもしれない。

 だからあの集団の中の何匹かが蟻の巣ころりで息絶えたとしても、それは体のほんの一部を失っただけで、本体に影響を与えない。巣が壊滅させられても他に移動し更なる住処を作り始める何時もと同様な行動が出来るのだろう。

 もし地球上に人間という種が存在しなくなったとしても、蟻は生き残るのは間違いないだろう。