八ッ場ダム

 今しがた霧雨が降り始めた。雨は午後からという予報だったが、空模様は気まぐれらしい。

 引用 日経ネット(http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090924AT1G2301I23092009.html) 

八ツ場ダム地元住民、問題長期化を不安視

 前原誠司国土交通相が23日、八ツ場ダム(群馬県長野原町)建設予定地を視察した上で、中止方針を撤回しない考えを明らかにしたことで、地元住民らからは落胆や怒りの声が相次いだ。住民と国交相との溝は深く、問題が長期化することへの不安が高まっている。

 「白紙の状態での意見交換を要請したが(前原氏が)『中止する方針は変わりません』とのコメントを出したので出席することはできない」。地元住民で組織する「八ツ場ダム水没関係5地区連合対策委員会」は意見交換会への参加を拒否。萩原昭朗委員長(77)が意見書を読み上げ、足早に立ち去った。用意された席に座ったのは群馬県民主党の関係者などばかりだった。

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 この問題、当事者にとっては、国に翻弄されたといってよい問題である。国の方針を漸く受け入れ、次の未来の青写真を描いていたところに政権交代が起こりそれがまたもや白紙に戻すと言う提案をされれば、文句も言いたくなるのは正直なところである。

 この問題は、国の政策に対する住民の不利益をどう解決するかと言う事であろう。

 昔、成田空港を建設する際、国は強制代執行と言う形で空港用地を確保しようとした。その際国は、農民の反対、それに加わった政治組織などの抵抗にあい、更にその模様を伝えるマスコミの報道により相当の非難を受けた。

 それ以降大規模な工事に際しては、補償、地域振興策などを労して公共事業を行うようになった。

 それはスムーズに公共事業を行うための正しい方策のように見えたが、それとは反対に、公共事業に群がる魑魅魍魎の利権にも繋がるようになってしまった。

 そのため、今の住民の気持ちも分かるのだが、それに乗じて儲けようとする輩が飛び回る事になることが、更にこの問題を長期化させる事になる。

 本来なら国の政策に対し、国民の権利は制限される。それによる不利益は何らかの補償により解決する。もしそれでも了解が得られないなら強制執行するというルールがありながら、そのルールが上手く適用されないできたともいえる。

 その問題の一つが、本当に必要な公共事業だということを国民に説得できないような事業が増えたことにある。役人は、本当に必要な事業と言うより、自分たちが仕事をするための事業として考えている節がある。そこに政治家が加わり利権の種に成長させ、本来の国が必要としている事業の何十倍の規模に膨らませ、当初考えていた事業の必要性が見失われてしまう。

 

 高度成長期からこの方、公共事業は、本当に多くの無駄を生んできた、何故なら本来の目的が失業対策、不景気対策になってしまったのだからである。その中にこのダムも含まれている。

 群馬県と言えば、中曽根、福田両氏の地元である。大きな公共事業を持ち込んで利益誘導型の選挙を行ってきた土地柄である。最初の予算を超えて長年事業が継続し、当初見込まれた事業費2100億円が既に4600億円となっている。この辺り、どのように国のお金が使われてしまったのかきちんと精査する必要がある。その中には、ドサクサに紛れ無駄に使われたお金があるはずである。