MS帝国

 雨上がりの朝である。既に雨雲は空に無い。朝日は、雲に少し隠れてしまっているが、このまま晴れになりそうである。気温は比較的高く、11,2度あるのではないだろうか。


 Windows7が発売されて、世の中変わったかというとそうでもない。景気低迷の居り、PCの売り上げも思わしくなく、企業も端末の更新を遅らせているようである。その影響か、日本の富士通NECなどはパソコンの売り上げ減で業績を下方修正している。

 PCの売り上げが芳しくなければ、それと同時にPC-OSの売り上げに依存する巨大帝国マイクロソフトの業績も悪化するのは当然である。個人用PCのOSの殆どは、マイクロソフトの製品であったわけで、それ以外に大きな敵は無く、もし敵になりそうな企業があれば、買収或いは叩き潰す方法をとり、常に一社独占の状態を作り上げてきた。

 しかし、今回のOSのWindows7、その前のVISTAもしかりで、このOSを使って何をするかという目的が明らかではなかった。ただ画面が綺麗、動きが面白いでは、興味を引く人は居ない。

 

 OSは基本的には、黒子の存在である。便利な機能は全て隠れており必要な時に利用できれば不自由は無いものである。その基本的動作は、既にWindows2000の時に既に完成していたといって良い。それ以上の価値をユーザーが求めるかというと、その存在価値は徐々に薄れ、ライトユーザーはインターネットとメールが出来れば良いというようになり、更にメール機能も携帯電話があれば必要ないという状況まで来てしまった。

 更に、Office2007も、機能的にはoffice2000の頃から進歩を遂げていない。2007から導入されたXML形式に対応した形式も、今までの資産を使う人たちにとって煩わしいものであり、初めて使う人にとって互換性という問題が最初にあることが却って評価を貶める結果となっている。

 

 更にマイクロソフトにとって強力なライバルが現れた。それがGoogleである。最初は、インターネットを拠点とする企業としてyahooなどと同一視していたのだろう。あくまでもインターネット検索に特化したニッチな分野の企業であると考えていた節がある。

 

 そもそもマイクロソフトは、インターネットに乗り遅れ、強引な手法でネットスケープを追い抜いた事実がある。しかし、欧州での裁判で、OSとの抱合せ販売を禁じられ、徐々に苦戦を強いられ今では、ブラウザーの競争にも負けつつある。

 更にインターネットの世界がこれ程早く普及するという事を予想していなかった節がある。今までマイクロソフトは、個人の端末にアプリをインストールする事がこの先も続くだろうという予想を立てていたのだろう。しかし、世の中は急送にインフラの整備が進んだ。

 そして端末にソフトをインストールしなくともオフィス様のソフトが出始め、初めて舵を切り始めた。そこには、巨大企業ゆえの決定力の遅さが垣間見える。

 マイクロソフトと同様に、Googleもこの先永遠に安泰では無いだろう。繁栄した企業はいつかは衰える。永遠は続かないというのは歴史が証明している。繁栄した企業が衰えればその座を奪うかのように数々の企業が生まれ競争が生まれ新しい技術が生れてくる。

 大企業の衰えは、必然でありそれが世の中の歯車を動かしていく。そのことは企業に限らず国も同じである。今までの大国が何千年と続いた歴史は無い、必ず大国といわれた国も没落し新しい国に生まれ変わる。それも歴史が証明している。

 今現在も大国であるアメリカもこの先永遠に大国で有り続ける事は無い、それより先に日本が徐々にその輝きを失われている事も事実である。この先に起きる出来事は誰も予想すらできないが、その流れに抗う事が出来るかどうか人類の存亡にもかかわっているのだろう。