国事行為

 今日も曇り、うっすらと雪が積もっているが、北海道の他のところより少ないだろう。朝日が顔を出すのが徐々に7時近くになってきた。夜明けは遅い。

 天皇陛下と中国国家副主席の会談、色々な波紋を呼んだ。

引用 日経新聞http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20091215AT3S1401I14122009.html

小沢氏、宮内庁長官を批判 天皇陛下特例会見

 民主党小沢一郎幹事長は14日の記者会見で、15日予定の天皇陛下と中国の習近平国家副主席による会見を政治利用と批判した羽毛田信吾宮内庁長官について「内閣の一部局の一役人が内閣の方針、内閣の決定に記者会見をして、方針をどうだこうだと言うのは日本国憲法の精神、理念を理解していない。どうしても反対なら辞表を提出した後にやるべきだ」と反論した。会見の1カ月前までに申請するルールに関しても「宮内庁の役人がつくったから金科玉条で絶対だなんてそんなバカなことあるか」と述べた。

引用 はじめての憲法http://www009.upp.so-net.ne.jp/law/kenpou.html

第7条 【天皇の国事行為】

 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。

 1号 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。

 2号 国会を召集すること。

 3号 衆議院を解散すること。

 4号 国会議員の総選挙の施行を公示すること。

 5号 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。

 6号 大赦、特赦、減刑刑の執行の免除及び復権を認証すること。

 7号 栄典を授与すること。

 8号 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。

 9号 外国の大使及び公使を接受すること。

 10号 儀式を行ふこと。

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 小沢さんは、日本国憲法を読めといわれたが、当然憲法に今回のような場合の方法が書かれているわけはない。

 天皇陛下の国事行為の制限を宮内庁が行うとも書いていない。

 今回の問題は、

 事前の連絡が宮内庁にないまま、天皇陛下と中国国家副主席の会談が組まれたことに端を発する。

 ・天皇の国事行為の範囲を逸脱していないか(政治的利用なのか?)

 ・天皇陛下の行事日程は、宮内庁が仕切るのか(宮内庁は内閣の権限が及ばない組織なのか?) 

 この2点が問題として分離して判断しなければならないだろう。

 日本の文化として、「なあなあ」或いは「阿吽の呼吸」というものがある。白黒をつけないのが日本の伝統といって良い。

 1番目の問題も、日本的文化風土で言えば、政治的利用があり得るが、それは行わないとする暗黙の了解がある。それは、灰色と言ってよく政治的な利用は、過去にもされてきた。

 例えばといって明確な政治利用はなかったが、言論を封じ込めるために天皇制を持ち出すことは有った。

 2番目の問題も、直接政府が天皇家を指図すると非礼に当るため、歴代の政府は宮内庁を間に置くことで、問題の所在を曖昧にできるため今まで宮内庁の権威を立ててきた。

 もしかするとその歴史が、宮内庁を犯さざる聖域として扱うことで、天皇家を周囲の色々な勢力が政治利用をすることを妨げてきた。

 それは翻って、天皇家が外部勢力と手を結び暴走するのを防ぐ役目を負っていたはずである。

 その宮内庁の存在が、時の政府にとって扱いづらい存在であったり、天皇家の中の人達にとっても外部の空気を自由に取り込めないと言った部分があるのだろう。

 両方の問題は、日本的な曖昧な文化にとって非常に好都合であるのは間違いの無いことである。

 この問題を欧米のようにきちんと裁くことは永久にできないだろう。或いは欧州の国王を様する国も同じように曖昧な基準によって動いているのだろう。 


 民主党の小沢さんの発言は、宮内庁の行為が政府に対する越権行為だということで、国民の意識を宮内庁の問題にすり替える詭弁であろう。

 今回の問題は、天皇陛下との会談を政府が決めることができるかということである。今回結果的に、天皇陛下と中国国家副主席の会見は行われた。

 

 これで色々な批判があったが、民主党政権に於いて、政府が天皇陛下の会見をセッテングできるという道筋ができたことになる。更に宮内庁は政府の一部門であるという結論が出たわけである。

 

 今回、宮内庁長官の発言は、宮内庁の公式見解であろう、しかし、今回の結果が出たからには、宮内庁長官の発言は問題とされるだろう。

 

 宮内庁は、天皇家の絶対的な守護神ではないのだろう。それは宮内庁という歴史的な組織を存続させるために天皇家を利用してきたと言っても良い。

 その仕組そのものも、民主党政権が続くことで徐々に宮内庁という組織が変化せざる終えない状況におかれたことになる。それはまさしく宮内庁の転換の日になるのだろう。