野球小僧

 時折水しぶきのような水滴が、強い風に乗って顔に吹き付ける。昨日から降り続いた雨は、漸く止み、今まで薄暗かった雲が急に明るくなっきた。心なしか吹く風も生ぬるい感じがする。

 
 町並みの街路樹は既に葉が生い茂り、しっかりと日陰をアスファルトの道路に作るようになってきた。すっかり街は夏の装いである。

 今年の夏は、やはり暑い夏なのだろうか?

 新聞では、既に夏の甲子園の予選が始まっている。地元の高校や、我が母校も甲子園の予選に挑戦している。新聞によると徐々に野球をする高校生が増えているらしい。
 今までは、Jリーグが始まって圧倒的にサッカー少年が増えたのだが、それが徐々にまた野球に戻ってきている。確かに今のJリーガーの待遇を見れば、将来サッカー選手として食べていけるのはほんの一握りである。野球選手も、高額の給料を貰っているのはほんの一握りだが、その一握りの中の選手が貰う年俸は、J1、J2のチームの総年俸に匹敵する。将来を計算している現実的な子供は、両方の才能があれば野球を選ぶのではないだろうか。

 野球とサッカー、同じプロスポーツでも方やチーム数に制限を設ける側と、拡大していく一方だった側で、それなりの長所、短所が見えてくる。
 野球は、人数を制限する事でスター性を増す。方やサッカーは、チーム数が多くなるにつれスター選手が徐々に不在になりつつある。それも底辺を拡大するための方策だった結果。

 だからファンも野球はスター選手を見に、サッカーはチームを見に来るように思う。その風土の違いは確実にある。ただしいえるのは、両者ともその主力は高齢者だと言う事である。両者のスポーツの観戦者に若い人が少ないと言うのが特徴かもしれない。
 それも、常時見に来れる時間とお金がある人が比較的年齢が高いそうだという事だろう。

 どちらが優れている優れていないと言う事ではない。自分が出来ないスーパープレーを目の前で行ってくれ、それをあたかも自分が経験しているように錯覚させるのがスポーツ観戦の醍醐味である。それは、どのスポーツにも共通したものだろう。更に本当に自分でプレーできれば言う事は無い。