市場原理

 曇り、ここまで続いた雨のせいで湿度は異常に高い。北海道の夏はカラッとした夏だといわれるが、これ程雨が多く、湿度が高い夏は初めてである。今日も雨らしい。


 土曜日コンサドーレ札幌の試合を見に出かけたとき、いつもある風景が違っていた事に気付いた。それは建物があるべき交差点の一角が更地になっていたからである。

 正確に店がどのような経過でこのように成ったか不明だが、ここにあったのはカー用品を扱う店だった。

 若者の車離れは非常に激しい。その最大の原因は、他の出費で車の維持にお金を回せないことだと思う。昔なら、就職してまず初めにすることは車を買う事だった。しかし、今はそうでもない。札幌市内で暮らしているなら、移動手段としてJR、地下鉄、バス或いは自転車などで市内ならどこでも手軽に移動できる。さらに重要なのは、彼女とのデートに必ずしも車を必要としなくなった。もっとも必要なのは携帯電話だろう。

 更にこの不景気で若者の働き口が少なくなり、フリーターの増加も上げられるだろう。月々の給料が低ければ車を維持するのは大変である。本当に飲まず食わずの生活を強いられてしまう。

 カー用品の販売店もこれ程将来が暗いと思って店を出していなかっただろう。売り上げ減の最大の問題は、競合店の進出だっただろう。それが予想に反し、別な要因でこういう結果になるとは思いもしなかっただろう。
 
 自分の店の将来を占う点として、競合店の進出と同時に地域住民の利用率というのも問題がある。住宅地が直ぐ近くで人口は充分あるのに人が来ない飲食店というのもある。立地条件が良くても必ずしも思い通りにはならない。充分市場調査したと思われるコンビニチェーン店も不採算店の撤退が既に始まっている。
 
 今までなら右肩上がり悪くても水平という考えは通用しなくなってきている。本当に消費者とのニーズが合わなければどんな有名なチェーン店でも撤退しなければならないという事である。 その問題が、予想していなかった事で始まるのは、まさしく予想不可能というしかない。

 今、もう一つ不況に強いと思われていた職種の撤退が起きている。それはパチンコ・パチスロ店である。毎日山のように入っていたチラシが徐々に減ってきている。あれだけ高額なお金を注ぎ込まなければ時間を潰せない娯楽は、徐々に淘汰されていくだろう。昔のように、小さな箱一箱でお菓子に変えて帰ると言う時代が来るかもしれない。
 
 本当に時代は動いている。それを見極めることが出来なければ淘汰されても仕方ないとも言える。ただし、自分が淘汰される身には成りたくないというのが正直な感想である。