水戸 vs 札幌

CS録画

 お互い鏡のようなチームである。お互い目指すところはパスサッカーである。

 試合は、お互いパスをつなぐところから始まる。そしてお互いパスミスをして球を取られそれをまた取られるといった展開に終始する。

 

 見ていて笑えるほど相似性である。そしてパス上手く回った札幌が攻勢を強め、札幌が先制する。

 後半開始早々、水戸のCKから得点を許しそのまま試合終了。

 見ていて思うのだろうが、パスサッカーの見本とするなら今年W杯で優勝したスペインのサッカーだろうが、スペインは密集でパスサッカーをしていたのではなくグラウンドを縦横無尽に使って行っていた。それが違うところ。

 やはりパスサッカーをするなら選手の視野をもっと広く使ってもらうしかない。更に正確なパスが蹴れることにあるがそれは初めからできていなければサッカー選手とは言えないだろう。

 札幌と水戸が目指すパスサッカーは、どこにあるのだろう。パスミスをすることで相手にカウンター攻撃をされ、満足な守備を行えない。だとしたら基本的な守備の構築はどうしてできるだろうか。

 何故なら、前の選手がパスミスを繰り返しカウンターを食らうことが判っていてディフェンダーが前に前に守備ラインを上げることはできるだろうか?それはできないだろう。

 守備の選手は、試合で得点を入れることでは無く、得点を入れられないことを目的として試合に入る。その習性を無視して上がれという監督は素晴らしい。

 パスサッカーを目指すには、味方の選手がパスを受けるコースにいる必要がある。その距離が広いほど相手の選手のプレッシャーを受けにくくパスを通しやすい。相手の選手が複数でボールを取りに来るのを防ぐことが出来るからである。

 しかし、パスの精度が悪いと距離が離れている分相手にボールを奪われやすくなるため、どうしても味方の選手と近い位置に立つことになる。そして相手のプレッシャーを受けることになる。

 好パスは、技術力が無ければミスパスになりやすい。その確率を上げることが出来なければそもそもパスサッカーではなく、トップの選手目がけて縦ポンサッカーをするしかない。

 しかし、世界の好チームはその両方が出来るものである。

 札幌、水戸両方のチームがこの先J1を目指すのなら、どちらかを目指すしかない。手っ取り早い方法は、トップに得点を取れるスーパーな外国人選手を連れてきて縦ポンサッカーをするのが早道である。しかし、J2では通用するスーパーな選手も、J1ではそれなりに対応され得点を入れることが出来なくなる。そのためJ1で通用するサッカーをするためにJ2の監督は皆パスサッカーを目指す。

 これまでの札幌は、前にスーパーな外国人選手を使い、後は全員で守るというサッカーでJ1に上がり、そしてそれが悉くJ1では通用せずまたJ2に戻ってきての繰り返しである。

 そもそも相手の攻撃を防ぐ守備力が足りない部分と、J1でJ2のサッカーをしたくないという監督のジレンマが選手たちを混乱させていたともいえる。

 

 なぜ、J1に上がると監督は皆華麗な出来もしないサッカーを目指すのだろう。華麗なサッカーを目指すために半分程度の選手をJ1昇格と同時に入れ替えるのも問題ではある。

 そもそも基本となるチームの骨格を崩してまで見栄を張る監督の存在が陥落の原因だろう。やはり身の丈に合ったサッカーを追及するのがベストだろう。

 もし、札幌のサッカーを作ろうと努力しているのなら、自分はスーパーな外国人選手を連れてきて縦ポンサッカーを目指すこともありだと思う。

 そすしてJ1に定着してこその伝統だと思う。その縦ポンサッカーを嫌うサポーターも多いが、札幌の発足当時から、札幌が華麗なパスサッカーを見せて勝つ試合を殆ど見たことは無い。それが札幌の伝統ならそれで良いではないだろうか。

 今札幌がしなければならないのは、まず負けないサッカーだろう。得点を入れても直ぐに同点にされるようなサッカーが見ていて楽しいとは思わない。

 

 だれが守備的なサッカーが面白くないと言いはじめたのだろうか?

 J1に昇格しても格好よさを求めずに試合をすれば良い。それにはまずJ2で勝てるチーム作りをするべきである。それが身の丈に合ったチーム作りだし。技術力に優れた選手が揃えばその時点からパスサッカーを目指すべきである。

 以前J1で岡田監督が札幌で指揮を取っていたとき、1年目は、J2のサッカーでようやく残留を果たしたところで大幅に札幌のチーム作りを変えたことがある。まさしくそれは岡田監督が目指していた日本代表でやろうとしていたサッカーである。

 しかし、その理想は高く、無残にも札幌はJ1の舞台で結果を出せずに砕け散った。理想を実現させるためにその当時の選手のレベルに合わない戦いをしようとしていたのである。あれは見ていて苦しかった。

 監督の戦術が、選手を生かせるものだったらよかったのに、選手を戦術に合わせようとしていた。しかしそれが出来ない時点で気づくべきだった。このチームにまだ伝統は出来ていないことを。

 そして次に上がった、三浦監督時代は、それとは逆にJ1でJ2の戦いをしようと考えていた。しかし、選手が既にJ1を経験した選手が殆どいなく(曽田選手くらいか 当時)選手皆、J1の舞台に浮足立ち、自分の能力以上のものを出そうとしてしまった。J2時代にあれだけ守備のミスを繰り返していたのに、それがJ1ではスーパーなプレーができると勘違いをしていた。

 札幌の経営陣は、その札幌がまず目指すべき現実的な所からチーム作りをするべきである。もし本当にパスサッカーを目指すなら、まず若手でそれが出来る選手を連れてきて育てるしかない。お金がないチームの宿命だがそれしか方法は無い。それを誤れば以前の札幌が陥ったように借金まみれのチームが出来上がる。

 

 徐々に札幌には、若手の選手が育ってきている。その若手の目を潰さぬように育てなければならない。それが出来、更にある程度若手が育った段階で、縦ポンができる外国人選手を加入させればある程度J1昇格の道ができるはずである。

 今は残念ながらそれができる状況ではない。まずJ1で通用する守備の選手が誰もいないことである。それが出来ない現状ではそもそも今のパスサッカーもできないだろう。

 同じことは、水戸にも言えるが、まだキーとなる守備の選手が存在する。それがまだ救いだろう。しかし、水戸には生え抜きと言える選手が少なく、レンタルした選手がお帰りになると極端にチームレベルが低下する。

 若手選手を育てるためのレンタル制度だが、それが仇となり、ある程度チームが完成しても振りだしに戻ってしまうのが問題である。去年のチームがそのまま残っていれば、J1昇格圏内に今年も居ただろう。

 それが経営基盤が弱いチームの宿命ともいえる。その可能性は当然札幌にも言えるだろう。

 本当に強いチームを作るなら、まず運営会社がしっかりする必要がある。それは、やはりきちんとした今ある資源をどのように利用してチームを育てるかそれがマネジメントと言うものだろう。

 その能力が今の経営陣には無いのかそれとも周りの影響が強すぎるのか上手く経営できたとは言えない。これだけ北海道というマーケットを独占しているのだから、あれだけ日本ハムが上手く経営しているのを見るとサッカークラブを運営する能力に欠ける部分がどこかにあるのだろう。