コンサドーレ札幌

 曇り、東の空だけが口を開けたように青空が見えている。そこから上る朝日の光は、大きく長い影を作っている。気温は非常に低い。


 北海道日本ハムに斉藤投手が入団することが決まり、朝のローカル放送では、その話題に時間を割いていた。一人の投手が入団することがこんなに話題として取り上げられることは、北海道の野球ファンは嬉しいことだろう。

 翻って、自分が応援しているコンサドーレ札幌にとって今年の年末は厳しいものがある。砂川、箕輪、藤山、吉弘、堀田、李の各選手と来季契約を結ばないことが発表され、そして、去年突然レンタルに出た、西選手ダニルソン選手は完全移籍とレンタル延長になるらしい。更にスポンサーであるニトリは来季は無となるなど、札幌にとっての現実は暗い話題ばかりである。

 何か明るい話題は無いかと探そうにも何もない。そして更に問題なのは、ここに来てもまだ監督の去就が決まっていないことである。

 新聞報道で、一時石崎監督の続投が報じられたが、その後正式の発表が無く、最終節の熊本戦での挨拶が会場の居たサポーターを唖然とさせたらしい。

 その真意は、当事者で無いので判らないが、もし本当に監督がその発言をしたのなら、運営会社のHFCの対応の納得がいっていなくての発言なのかもしれない。

 

 自分の中で、北海道には石崎監督は今季限りと思っていた。何故ならそこそこの戦力を揃えながらそのピースを上手くつなぎ合わせることが出来なかった手腕の限界が見て取れたからである。それは選手の能力を見抜く力が不足しているというしかない。

 更に開幕から続々と続いた選手の離脱の責任も少なからずある。フィジカルコーチが居ながら何故これだけ故障者が続出するのが不思議で、フィジカルコーチがいない時よりケガ人が増えること自体、その方法に間違いがあったとしか思えない。

 

 スポーツは、結果が全てである。結果が出なければ内容がいくら良くても誰の評価も受けない。やはり今季昇格を争う位置までに居たなら別だが、一度もその中に加われなかったことが一番の問題だろう。

 監督問題もそうなのだが、一番の問題は、運営会社の運営方針である。HFCは株式会社である。経営の責任者は、社長であるがその実態はサラリーマンである。今までスポーツ事業に専念してきたという経歴もない人間が歴代の社長を務めてきた。

 では誰が影響力を発揮してきたかと言えば、株主である。

 コンサドーレ札幌の一番の株主は誰かと言えば、実はコンサドーレ札幌サポーターズ持株会である。自分の持ち株会の一員であるが、会社に対して何の発言権もない。

 

 この持株会の発端は、正しくエメルソンの移籍を止める狙いでできたのだがそれは実現せず持株会という形で残ることになったのだが、この持株会という形にすることでこの株式は何の発言権を持たないグループ筆頭株主という不思議な存在になったわけである。そしてその次の筆頭株主は、胸スポンサーでもある石屋製菓となっている。

 コンサドーレ札幌とい会社の運営責任者は社長であるが、その実態は、正しく第3セクターのようなもので、誰も責任を取らなくてよいように出来ているのである。

 普通なら運営会社と別に親会社があり、そこから役員なりが出向し、赤字が出れば親会社が補てんするという形が出来ているのだが、その親会社を持たないコンサドーレ札幌は、石屋製菓なり、北海道、札幌市という自治体が赤字を少なからず補てんする形となっているのである。

 石屋製菓は、「白い恋人」というお菓子で有名で北海道の企業の中では優良企業の一つである。しかし、残念ながら北海道の中で優良であって、日本の中では、一地方企業の一つでしかない。その会社がコンサドーレ札幌というクラブを維持できるほどの力は無いわけで、他の協力が無ければそもそもクラブを運営することが不可能なわけである。

 

 それでは、それに代わって引き受けてくれる企業が道内にあるかと問われれば、数社考えられるが、それでもまだ親会社たる程の資本力に乏しいところばかりである。

 本来なら、持株会をもっと大きくしてソシオと呼ばれる経営体になれば理想なのだが、そういった状況に変わるそぶりは無い。そういった動きは無いのは、まだこれでやれると運営会社は考えているのだろうが、それ程将来は甘くない。

 Jリーグも加盟クラブが増えれば、今のJFLJ3にしてJ2のチームと入れ替えを行うという方針がある。もしそのようなことになれば、運営予算が小さいチームはどうしてもJ2下位に沈み、J3に落ちる可能性がある。

 そうなった場合、今以上に露出は減り広告媒体としての価値を失ったチームは、プロチームとしての存在そのものが怪しくなるのは必至である。

 今の札幌の姿は、将来に明るい未来を予想できないため投資を渋り、みすみす勝機を逃し続ける会社である。その資本を筍の皮をはぐように脱ぎ捨ててしまうため、結局は次に行動に移そうとしたときに何の力も残っていない。

 やはり根本的に会社を立ち直らせるためには、選手という資本を上手く確保しながら、如何にユーザーに購買意欲を高められるかが勝負である。

 ある意味、今年の中山選手の加入はその一つのやり方ではあっただろう。それが上手く働くか働かないかは、その使い方でありそれが上手く機能したとは言い難いのが残念である。

 

 ここでタラればを言えば、三浦監督の時代、J1に上がった際の選手の補強が上手くいっていたなら少しは今の現実とは異なっていたかもしれない。本当にタラればだが投資の判断を誤ったとしか言いようがない。