クリスマスイブ

 辺り一面雪景色である。朝日は今登ろうとしている、雲が茜色に染まっている。西方に上る月は、辺りはまだ暗いため孤高の存在を浮かび上がらせている。気温は零度前後だろう。


 今日は何と言ってもクリスマスで世間は大騒ぎだろう。昨日の街中の商店やスーパーはクリスマス商戦真っ盛りで、店員がサンタの衣装に身を飾っていた。クリスマスに向けてまだ強気の売り方をしているところが多かった。

 きっとこれが過ぎれば投げ売り状態になるのは目に見えているのだが、やはりクリスマスイブの夜にプレゼントを渡すとなれば今しか買う時期は無い。それを見越して値段をつけるのは、需要と供給の経済学的原則から言えば正しい方法で、売れ残りは、売れる価格まで下げて売り払うのも商売である。

 

 そして最終的に売れ残った商品は、来年の店頭に置かれることは無くなるわけである。それでも来年の今頃店頭に並ぶ店も無いわけではない。昔の商店は、仕入れが難しかったため、毎年売れ残りの商品を骨董屋のように店先に並べて売っていたものである。

 それも、仕入れの難しさからくる在庫の希少価値というものが発揮されたからで、当然の方法である。大量に売れなくともある特定の個人が必要とすればそれは商品となりうる。それがまさしく生きた経済というものだろう。

 日本の経済が回るには、クリスマスや年末商戦がカギとなる。ここで日本人が消費を繰り返さなければ、来年の景気の浮揚は無い。慎重な消費者は、浪費を戒めるかもしれないが、消費こそ日本を救う唯一の方法であるのは、政治よりも正しい方法である。

 良いものを長く使い続けるといった、大量消費時代に逆行する暮らしを求めるには、消費者の心を入れ替える充分な年月が必要である。