日本対パラグアイ戦前

 少し薄い雲が太陽の光を遮ってはいるが、それでも充分な日差しが体を射ぬくように降り注ぐ。今日も暑くなりそうである。

 さていよいよ今日は、W杯決勝トーナメントの日本の試合である。日韓共催のW杯で予選リーグを突破して以来の経験である。あの頃の日本代表は、予選リーグを突破したことに満足を憶え思うような試合運びをして居ないように見えた。
 きっとこの試合を勝ちたいと思う選手とこの試合にでれるだけで充分と思う選手がいたのだろう。試合前に話していた試合を楽しむという言葉の裏に色々な選手個々の思いが有ったはずである。
 等と書くと、まるで自分が当事者の様であるが、これは想像に過ぎない。
 
 試合を前に、色々なことを想像し、それが現実でどうなるか、自分がその試合の当事者でないだけに勝手な想像をしながら見る。それも応援する者の楽しみである。
 
 決勝トーナメントでは、既にドイツ、アルゼンチン、ブラジル、オランダ、ウルグアイ、ガーナと6チームが勝ち上がっている。
 その中でやはりアルゼンチン、ブラジルの底力のある戦いぶりが目に付く。両チームとも勝者の理論というか勝つための本能を備えたチームだということである。

 他のチームもここまで勝ち上がった結果からしても当然勝つ力を備えたチームなのだが、あの2チームだけは、選手個々にサッカーの試合を勝つためのDNAを備えているとしか言いようがない。

 翻って今日戦う日本だが、日本には残念ながらそのDNAは存在しない。昔からそうだが、日本は乗せると怖いチームだが、どこかで歯車が狂うと途端に全体の士気が目に見えて下がる。それは、潔うとも言う美徳でもあるのが、サッカーの試合に限ってはその美徳は、欠点である。

 本当のサッカーの強者は、試合終了のホイッスルが鳴るまで試合を諦めることはない。そして相手が隙を見せたとき猛然と襲いかかる狼のような鋭さがある。
 日本の様に相手が弱ったとき自分たちも同じように休むというメンタリティでは、W杯で優勝するなどという事は訪れるわけもない。

 しかし、日本も調子に乗れば怖いものが無いほど強い。その気持をチーム全体が持つことが出来れば今日の試合も勝つことは可能である。
 
 そして、まだ負けていないということは、日本にも優勝の可能性があるということでもある。日本の健闘を祈る。