放射線

 あられの様な雪が朝から降り続いている。震災にあわれた方々のことを思うと非情な雪である。気温は、マイナス5度くらいである。

 福島原発については、中々解決とはならず、ニュースや報道を見る限り歯がゆく思えてならない。災害からの復興の準備に取り掛かろうとする勢いを弱められてしまっている気がする。

 既に、福島原発は、機能を逸しすでに廃炉しか今後の見通しが無いのであるから、如何に現在の燃料棒を安全に今後管理できるかが焦点となっている。

 まず考えなければならないのは、作業の安全性の確保である。そのためには、無人作業車などが用意できれば一番なのだが、現在の状況からその方法も難しそうである。それができない場合、人間がやはり作業に取り掛かる必要がある。

 放射線から体を守るには、遮蔽、時間、距離の3つのポイントがある。

 放射線は、発生源から放射状に放出されるため、例えば太陽の光のようなものが線としてされると考えてよい。光は目視できるが残念ながら放射線と呼ばれる、ガンマ線、 ベータ線アルファ線中性子線などは目視することができない。もし観測するとすれば、放射線計測器を使うしかおもな方法が無い。

 しかし、爆発で放射性物質が拡散されない限り、放射線源からの放射線は、光と同じように直進するため、遮蔽物があれば放射線被ばくは避けられる。光を遮る建物の陰では日焼けしないのと原理は同じである。

 だが、光と違うところは透過力が違うということである。光なら紙一枚で十分日陰を作ることができるが、放射線はそうではない。

 ただし、アルファ線ベータ線は、飛程距離が短いため、今回のような事故の場合、放射能を放出する放射性物質が体に付着しない限り左程問題とはならず、ガンマ線中性子線が問題となる。今回観測された放射線ガンマ線なら、ある程度の厚さの鉄、コンクリートがあれば被ばくを防ぐことが可能であるが、中性子線が放出されているのなら、それを防ぐには、相当の厚さの鉄、コンクリートが必要である。

 今回の場合、中性子線も観測されていることより、ある程度の中性子線が放出される環境にあるのだろう。ただ、中性子線は、水素原子を多く含む物質、水やパラフィンなどで減速させ遮蔽することが可能だが、それなりの量が必要である。

 時間については、なるべく被ばく量を減らすため、作業を効率化して行う必要がある。ある程度の人数で短時間で作業を交代し無ければならない。

 また、距離に関しても放射線は、距離の逆二乗の法則が働き、線源から距離を置けば置くほど被ばく量は軽減できる。

 既に現場で作業指揮に当っている人たちについては常識だろうが、何も知らない人にとって放射線は殺人光線と同意義の言葉である。

 

 世界で唯一の被爆国で、放射線の脅威の教育が行き届いていることが却って、色々な問題も引き起こすことになる。放射線の脅威とともに安全性の教育も当然ながら必要だったと思われる。

 こんなことなら最初から原子力発電所を建設しないという意見もあるだろうが、その危険性を理解したうえで利用する場合これほど有意義なものは無い。その点を誤解せず今後の議論が展開すれば良いのだと思う。

 人類は地球が誕生し、その地上に生まれてから宇宙から絶えず放射線を浴びて生活している。その環境にある程度順応してきた生物である。そのことを理解したうえで生活することが必要である。

 今回の場合、作業員の安全を確保するには、上記の放射線の性質を考慮して遮蔽材で防御すると同時に、短時間の作業を繰り返すことが必要とされる。