ヨウ素 セシウム

 晴れ、雲は見えないが空は少しくすんで見える。空気は土埃を含んで息をしているといがらっぽさを感じる。気温はマイナス5度くらいか。


引用 毎日新聞http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110324ddm003040094000c.html) 

東日本大震災:大気中放射線、横ばい--都道府県別

 ◇福島・飯舘村、土にヨウ素117万ベクレル

 文部科学省は23日、福島第1原発から北西40キロの飯舘村内など10地点の土壌調査で、土1キログラム当たりから放射性ヨウ素6970~117万ベクレル、放射性セシウム1260~16万3000ベクレルが検出されたと発表した。文科省は「土から出ている放射線量は小さく体外被ばくの危険はないが、周辺の土地で作った農作物に影響がどう出るのか予測できない数値で、内閣府原子力安全委員会の評価を待つしかない」と説明した。

 18~22日に採取した原発から25~45キロの土壌を調査し、飯舘村(放射性ヨウ素117万ベクレル、放射性セシウム16万3000ベクレル、20日採取)が最も高かった。そのほかの数値は▽同村(同30万ベクレル、同2万8100ベクレル、19日採取)▽北西約45キロの川俣町(同8万5400ベクレル、同8690ベクレル、19日採取)▽北約25キロの南相馬市(同3万5800ベクレル、同4040ベクレル、19日採取)--など。放射線量が半分になる「半減期」は、放射線ヨウ素で約8日、放射性セシウムで約30年とされ、文科省は「このレベルの放射性セシウムが検出されると、将来的に土地の使用方法を考える必要も出てくる」と分析した。

 風向き、天候の影響で汚染された地域は、斑状になっていると思われる。このまま福島原発の事故が終息すれば、ヨウ素による放射線被ばくは、一か月もあれば考慮しなくても良いレベルになるだろうし、人体への至急の影響は無いことは間違いない。

 今回ヨウ素で問題となっている点は、131ヨウ素が、普通のヨウ素と同様人体でいえば特定の部位である甲状腺、副腎に集積することである。131ヨウ素は、核医学検査で使用される薬剤であり、検査の種類にもよるのだが、例えば副腎皮質の検査の場合一回の検査に18.5Mベクレル使用される。

 

 目的は、病気の発見のためという理由で使用されるのだが、この程度の量では甲状腺がんは発生しない。何故それならチェルノブイリの事故で小児に甲状腺がんが多発したかと言えば、長期間の持続的な放射性ヨウ素の摂取が原因と思われる。チェルノブイリはそれ程多量の放射性の塵を排出したということである。

 

 そのチェルノブイリの事故と比べ福島の事故は、事故発生から混乱はしたが情報は提供されていることから、この程度の量ですぐに小児の甲状腺がんは発生しないと思われるが、これも確率の問題なので全くないとは言えないのが事実である。

 次に問題なのは、137セシウムである。このセシウムは、普通の生活環境で使用されることはなく、用途としては、放射線治療用の線源として、あとは実験室レベルでの使用に限られている。

 セシウムは水に溶ける性質があり体内に摂取されると水の一部として体内に分布することになる。人の体にセシウムは必要な元素ではないため体内に蓄積されることは無いのだが、水に溶け込んでしまうため体内に長期間とどまることになる。セシウムの生物学的半減期は70日程度であり、大量に摂取すればそれなりに体内被ばくをすることになる。

※生物学的半減期とは、物理学的半減期セシウムの場合30.7年とその時間が経てば、セシウムから放出される放射線の量が半分になるのだが、それとは別に、人間の体内に摂取された後、留まっている量が半分になるのが生物学的半減期になる。

 セシウムは物理学的半減期が長いため、その排泄に時間が掛かれば人体の内部被ばくの影響が強くなる。

 では今回の量が直ちに問題になるかと言えば結論は簡単ではない。もともと放射線障害の被ばく量との関係は、低被ばく線量の場合比例するか不明である。

 もっと高濃度の被ばくになれば、放射線被ばくとがんや遺伝的障害の発生は比例関係にあることが、広島、長崎の原爆被害者の疫学調査でも明らかである。

 しかし、微量の放射線を被ばくすることでどの程度の量であれば障害が発生するか明らかではない。ただ人間の放射線障害からの回復力を考えれば何らかの閾値が存在することは予想される。

 それで今回の量が人体に直ちに安全といえるレベルかどうかは、どんな専門家レベルでも断定は難しく、飲んでも食べても安心であると言うのははばかれるだろう。もし家族に乳幼児がいればきっとできるだけ飲まさないような対応はするだろう。

 今回の件で専門家が断言できるのは、摂取しなければ安全ということだけである。

 結論から言えば、間違ってあるいは普通に食したり飲んだりしても安全なレベルだが、できるなら摂取しないように努力することが大切ということだけである。過剰な心配はストレスになりそれが却って病気を引き起こす。

 人類が生活するうえで、今回の放射線被ばくは予想していなかったことだけに過剰に反応する部分もあるだろう。放射線被ばく以外にも普段の生活で、たばこ、排気ガス、化学物質で汚染された水、食物を知らずに摂取している。今回のものもその一つであると考えてもらう必要があるのではないだろうか?

 普段の生活をしていくうえで放射線被ばくだけがすぐに影響を及ぼすことは無いことを知って生活してほしい。