札幌 vs 大分

 午前中は快晴だった。厚別は普段にも増して賑やかだった。厚別競技場の周囲に大勢の人が屯していた理由は、厚別学祭という催しが有ったからだった。


 選手入場時には、競技場全体が赤黒の色で染まり、昇格を掛けた戦いの雰囲気を盛り上げる。

 試合は、まず大分のFKから動き始める。低いグランウンダーのシュートが壁の選手の足元を抜けていく。それをイ選手が好セーブ。

 その後、数分たった後だった、岩沼選手からのパスが大分のDFの裏に出、オフサイドギリギリで内村選手が抜け出し、見事なシュートを決める。できることなら何時もこんなシュートを打って欲しい。

 札幌が先制し、見ている人達をホッとさせる。これで選手の動きに余裕が生まれるのが見ているものにも感じさせる。

 

 しかし、この余裕が却って駄目だったのか?その後のジオゴ選手の1対1、砂川選手の1対1、尽く外す。普段ならきっと決めていたはず、それが決まらないのも運命の綾とも言える。

 そんなビッグチャンスを外す物だから、流れは大分に傾く、後半に入り、大分のシュートがポストに当たる。本当に僅かな差だった。それが得点に繋がらなかったのは、札幌厚別というホームの女神が札幌を見捨てなかったということである。

 更に後半、相手のDFがイエロー2枚のレッドで退場し一人少ない状態になる。それは本来なら札幌の優位になるはずが、却って札幌の守備を混乱させることになる。

 更に大分は、この試合は引き分け狙いではなく勝つことが目的という明確な意思の統一がある。

 大分が攻めに専念すればするほど、札幌は勝つためにその圧力を受け止めかわす必要がある。それは、最低限1点を守りきるという守りの意識である。

 だから大分の攻撃は増える。その攻撃を跳ね返しカウンターで札幌が相手のゴールに迫るという展開となる。

 後半早々、ジオゴ選手に代え近藤選手が入るが、やはり近藤選手もポストプレーは苦手というのは、今までの試合から変わらず、中々収められない。

 相手が一人少なくなった時点で、札幌も交代をすれば良いのに、何時も通り監督の選手交代のやり方は遅すぎる。傍から見れば臆病である。それはかっての岡田監督に通じるものがある。

 監督というのは、積極的な交代しないのが普通なのだろう。それは破綻を怖れて一歩を踏み出すことに躊躇するのだろう。

 その気持ちは、判らないではない。自分のチームが1点リードしているのだから勝ちきるのが大事というのは、でも、相手が一枚少なくても攻撃を仕掛けてくるのは判っているのだから、こちらも攻撃の手駒を投じるべきだったと思う。

 

 そして、数々のシュートを外しながらも、終了間際、古田選手のゴールで漸く追加点を奪いそのまま勝利を収める。

 欲を言えば切が無い。勝利は勝利、負けるより良い。徳島が勝ち、鳥栖が引き分けたが、勝ち点は、鳥栖と3差、徳島とは同勝ち点で得失点差が1という4位である。

 残り3試合、タラレバは無い。全て結果を求めるしかない。そして4位のチームより勝ち点で上回ればそれで良いだけである。