景気

 曇り、夜中の雪があたり一面を真っ白な景色に変えていた。本当に初雪である。この雪も昼には消えてしまうのだろう。

 でも、その降っては消えの繰り返しから根雪に変わって行くのは普段通りである。


 日銀が景気後退という見通しを発表した。それは、ヨーロッパ経済の先行き不安からヨーロッパ市場への輸出が減るからという事である。

 あまりにも判りきったことをこの時期で発表するのもなんだかと思うが、確かに景気後退の1年前に予想しても、仮にそれが当たったとしても、1年前から消費の減速を早めるだけで景気に対するマイナス効果しかない。

 ギリギリまで発表を遅らせることが日銀の役割と言えば役割である。正しい行いを今回したことになる。

 更に、国債の問題も報じられていた。それも国債の所有者である高年齢者層が退職や死亡により国債を手放すことにより、貯蓄層の国債保有率が下がるということだった。

 まさしく日本の国債は、その貯蓄を持つ層が郵貯や銀行にお金を預貯金することで買い支えていた。その資金力が低下すれば国債の買い支えは困難になってくる。

 それは真綿が水にぬれて締まるように徐々に日本経済に効いてくる。だから対策を取るのは今しかない。

 しかし、その財政を維持するためには、国内の景気回復か、税金を国民から徴収するしかない。

 税金が上がればそれに比例して物価も上がる。物価が上がれば国内消費は冷え込む。景気回復を望もうにも身動きができない状況に陥るのは目に見えている。

 きっと消費税を2、30%に上げた途端、日本の国債の価値も下がり、逆にデフォルトになる可能性も無きにしも非ずである。

 まさしく行くも地獄、下がるも地獄の状態である。この危機を日本に住みながら一人で乗り越えることは不可能で、できることは如何に資産価値の目減りを防ぐかだけで、素晴らしい方法などどこにもない。

 景気は波に例えられるが、右肩上がりの成長が何時まで続くという事は有りえないことであり、何時かは下がる。それが景気の本質であり、夢見るものでも何でもない。

 ただ一つ心配なのは、不景気で人の心が荒み犯罪が増えることである。またそれとは別に、些細なことが大きな問題となり、お互いの心をすり減らして生きて行かなければならなくことである。