春嵐

 昨日からの雨が雪に変わった、気温は零度近くだろう。強い風は時折あるが20mという事はなさそうである。

 春を告げる嵐としては規模が大きかったようである。幸い北海道の各地のニュースでは、大きな被害はまだ起こっていないようで良かった。

 人の一生の中で、そう何度も自然災害に会う機会は無い。それでも、何年も生きて行くうちにそれは不意に訪れる。昨年の地震も人生の中で何度も出会う事のないものであったし、台風などの被害は、北海道では何度も起きない。

 そういった記憶という経験で人は生きているため、あの時の災害の時はこれ程ではない、或いはあの時を超えたというような判断基準となるのである。

 今回の程度の風雨なら、今まで経験した中で普通の出来事と捉えられてしまうだろう。しかし、そういった経験を積み重ねることが利点になり欠点になる。

 例えば、利点は、経験が心の平静をもたらす。ある程度の直感が働くことで事の重大さを認識できる。そして欠点は、ある程度の規模になるまで動じないことが、予想した規模を超えた時取り返しのつかない事態に陥っているときがある。

 冬山の遭難などは、そういった経験則から判断を誤り、プロと言われる人でも命を失うような重大な失敗をしてしまうことがある。これなどは、経験を積めば積むほど最終的な危機の判断に遅れをとる例だろう。

 経験を積むことは重要だが、経験を積まないことによる慎重な行動は、時として有利に働くこともある。今日のような風雨でも油断せずに行動することが重要だろう。