つま先着地のその後

 曇り、少し、しけった風が吹く。気温は6時の時点で22度である。

 

 つま先着地のその後である。

 つま先着地を開始してから2か月程度経過した。その中でどういった走りになるのか自分なりにメカニズムを解明してみた。

 まず、つま先着地の走り方であるが、歩幅が小さい時には、丁度つま先立ちで地面を歩く感じになる。しかし、これでは地面を蹴って推進力を出す走りにはならず、つま先で走っているにしか過ぎない。確かにこの走り方は、馬、犬などの足の形なのだが、馬や犬などは、丁度つま先、人間で言えば足指と付け根の部分で地面を蹴るようにして反動をつけている。人間では、足指が短いためそういった走りは不可能である。

 そこで現実的には、つま先着地で走る場合、地面を足指と付け根の部分で地面を蹴りあげたそのままの形で地面に着地するのが理想の形となる。しかし、つま先での着地後は、そのまま足の土踏まずと踵が直ぐに地面に着地する。

 何故なら、着地した足で地面を蹴るには、足をまげて延ばす動作が人間では不可欠だからである。地面つけた下腿と足底の角度を広げることで地面を蹴る動作を作り出すからである。

 その地面を蹴りだした下腿と足底の角度を保ちながら前に足を振出しつま先着地することになる。その一連の動作の中で、必ず足底は地面に着地する。これが人間と動物の走り方の違いとなる。これは足の構造が違う事からくる走り方の違いである。

 この走り方の利点は、やはり着地時の衝撃の吸収が足全体で行われるという事だろう。つま先着地の場合、つま先、足底という流れの中で衝撃を吸収し下肢全体の衝撃を吸収する。これと反対に踵着地の場合、着地時は、踵、足底という順番になり、着地時の衝撃は踵一点で受けることとなり、衝撃を吸収する動作をするのは、膝という事になる。そのため、ふくらはぎ、太ももの筋肉に絶えず負荷が掛かった状態になる。

 長距離を走って判ることは、走った後の下肢の疲労度の違いである。走り終わった後の下肢の筋肉の張りは、踵着地の方がはるかに強い。つま先着地に変えた今は、その疲労度が極端に違う事に気づく。

 ただし、つま先着地で問題となる部分は、くるぶしの負荷である。地面を蹴った足は足を前方に降り出す過程で反動が尽き足首の角度を戻そうとする。それを抑え絶えず足先を下に向けるため足首の筋肉にストレスが掛かり続けることになる。それがくるぶしアキレス腱の付け根付近という事になる。

 そのため長距離を走ると疲労から足首の角度を維持するのが困難となり、徐々に足底全体での着地が増えてくる。この部分は慣れが必要だし、つま先を意識していないとつま先着地の利点が失われることになる。

 更に、つま先着地を意識することで、徐々に歩幅が広くなる。これもスピードアップにつながる。歩幅とスピードが上がれば、長距離を走っても足の動く回数が減るので疲労度も低くなる。一流のマラソンランナーがフルマラソンを走った後でもクールダウンで更に走ることができるのも疲労の蓄積が少ないからである。

 ここまで書いてきたことは、あくまでも自分の感想である。一流ランナーでも踵着地で走り続ける選手は大勢いる。必ずしもすべてのランナーがつま先着地で走る必要は無い。やはり、一般ランナーの走り方のモットーは、楽に気持ちよく走れる方法の追求だと思う。そのたまに色々と走り方を考えて走るのも楽しみの一つだろう。