選挙は怖い

 晴れ、空には上弦の月が朝日より前に天空のてっぺんに浮かんでいる。気温は、涙が凍る程冷たい。


 あけましておめでとうございます。

 もう既に、一年は始まっている。既に去年は去年なのだが、残念なことに年度というものが有って、全てをリセットできるわけでは無い。今年度は、3月31日までは、去年の全てを引き摺っていることになる。

 

 そして、去年の年末自民党政権に代り、早速出てきたのがこの話題である。

引用 毎日新聞http://mainichi.jp/select/news/20121228k0000m010105000c.html

田村憲久厚生労働相は27日、毎日新聞などのインタビューで、1割に据え置いている70~74歳の医療費自己負担割合の特例廃止について、「手続きを考えても来年4月は難しい。(市町村などの)システム変換がある」と指摘し、厚労省が想定していた来年4月の特例廃止を先送りする意向を明らかにした。自民、公明両党は14年1月に廃止する方向で調整している。

 70~74歳の医療費の自己負担割合は法律上、08年度に1割から2割に引き上げることになっている。しかし、実施直前に高齢者の反発を懸念した当時の自公政権は1割で据え置くことを決定し、その後民主党政権も踏襲してきた。


 現在高齢者の医療負担は、少し複雑な仕組みになっている。

 それは、老人の窓口負担が増えることによる抵抗感が、選挙へ影響するという事になり、選挙のたびに実際の実施が出来ず特例という抜け道を作ってきたからである。

 その一つが上に上げた、70歳から74歳の人の窓口負担である。最初の仕組みでは、原則75歳で高齢者医療を区切り、前期高齢者(65歳から74歳まで)と後期高齢者の窓口負担の率を変えるというものだった。

 簡単に言えば、74歳以下は、窓口負担2割、75歳以上は1割ということだった。確かに負担する当人にとって一割の負担感は大きい。単なる診察だけであればそれ程の負担は無いのだが、これに検査等が加われば千円以上の差になることも多い。

 以前なら70歳以上の老人は負担はゼロだった。それは、高度成長期で働く人間が多く保険料も余る程だったため、そういった事が出来た時代だった。それでバブルの頃に官僚がその保険金を無駄遣いして保養施設を作ったことは、今でも記憶に残る出来事である。

 その名残から、70歳以上の高齢者に対して医療費の負担を求めるようになったのも、医療費を勤労者が負担するバランスが崩れ始めたためである。

 今、高齢者に自己負担を求めなければこの先、現役世代の医療費に充てる保険金が底をついてしまうという事になるからである。

 一度、崩れた医療制度を維持するためには、多くの人の犠牲が強いられる。それは、今は既に現役で無い世代の人間が決めたことなのだが、時間を戻すことはできない。

 更に、今回のように選挙のたびに先延ばしされるようであれば、本来なら30年持つ制度も20年いや10年も持たない制度に成り果てる。

 

 そうやって人間は疲弊し、最後は破滅の運命を辿る。その先兵がアメリカである。そして日本もその後を追うように続くことになるのだろう。

 一発逆転の手立ては無い。それを判っているはずなのに、日本の景気が劇的に回復することなど起こりえない。日本国内の空洞化は30年も前から警鐘が鳴らされているにも関わらず、政府の取った有効な対策は何もなかった。

 そして最後の方策は、一人の独裁者がすべてを決めるというところになるだろう。もし有能な神のような人間がいて、日本人の半数が幸福になるという方法を決めてくれた方がまだましである。

 本来の半数以上の幸福にありつけた人間はまだましなくらいの幸福しかないかもしれない。しかし、今の誰もが少しずつ不幸になり、最終的には誰もが満足に生きられないのなら、日本という国が無くても同じという事になる。

 それくらい酷いという事である。この先をいくら悲観しても誰も幸せになることはできない。少し楽観できることが有ればというところが新年の感想になってしまった。