日本はどう変わるのか

 雪のち晴れ、気温は、朝日と共に上がり始めプラスになった。


 今回の円安、株高の影響は、日本国内の景気を上げた。これからもっとよくなるぞとの期待が、消費者の財布のひもをゆるませているのだろう。そうはいっても既に今の財布には紐なぞついていないのだが。

 しかし、だからと言って輸出産業が盛り返すかというとそうでは無い。今までの円高の影響で国内の製造業は既に空白化しており、海外に軸足を移しているため、この円安で潤っている企業は、日本の製造ラインを残したままの企業のみとなる。

 そして、円安の影響は原材料の値上げにつながるため、そもそも原材料を輸入に頼っていた日本にとって国内物価は上がるが給料は上がらないという悪循環に見舞われそうである。

引用 ロイター(http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE93B03420130412

ロイターが民間調査機関の予測をまとめたところ、3月貿易収支10+ 件(原数値)の予想中央値は4938億円程度の赤字となった(前年同月は818億円の赤字)。赤字となれば9カ月連続。

輸出の予測中央値は前年比プラス0.4%で、2カ月ぶりの増加となる見通し。

有機化合物などの素材や電算機用部品、非鉄金属などの輸出増で、輸出額は前年比でわずかにプラスになると見込まれている。円高是正も追い風になるとみられるが、輸出数量の落ち込みが続いており、輸出額の伸びを抑えるもよう。

「円安傾向が続いているが、価格競争力の回復が輸出数量の増加につながるにはもう少し時間がかかるとみられるほか、世界経済の回復ペースも依然として鈍い」(農林中金総研)、「(円高是正による)数量面での輸出押し上げ効果が出てくるまでには時間を要するとみられる」(信金中央金庫)などといった声が聞かれた。

 円安がこの先も続くなら、国内生産に軸足を移す可能性もあるが、そう簡単ではないだろう。既に海外に工場を持つような輸出産業系の企業は、そこに投資した資金を回収する必要があるからである。その目先の効果を上げなければ経営陣の能力が問われることになるからである。

 既に、グローバルを目指す企業ほど、国内生産に拘ることは無く、国内の景気に対して無関心であるだろう。それ程、国内に向けた愛着心は薄れつつあり、日本企業というくくりから脱皮しているにちがいない。

 今後この円安は、必ずしも国内産業の構造を変える事にはつながりにくい。更にTPP交渉が日本に不利な条件(それが本当に将来に渡って不利だとも限らない)によっては、1次産業も衰退するだろうし、日本のこれからの強みを見出しにくい。

 はたして、どの選択肢が正しいという事は、誰もが証明できないし、それが証明されるには長い年月が必要になるであろう。それは5年であるかもしれないし、10年であるかもしれない。

 そして、100年後には、携帯電話と同じように、ガラパゴス化した日本が見られる可能性もある。

 何時も書いている内に、悲観的にならざる負えない。日本の強みとは、日本だけが繁栄する世界が良いのか、日本だけが埋没する世界が良いのかの問いを突き付けられている様にも感じるからである。

 世界の色々な動きを見ていると、日本だけが一人勝ちする時代は、アメリカの没落と同時に終わったと言える。それはアメリカの貪欲な食欲を満たすために働き続け、その余禄を世界に売り込んでいる内に、アメリカ一辺倒ではなくなった時から始まった。

 自分の餌場としての日本が力をつけ、アメリカそのものを脅かしかねないと疑われ出した時から始まった。自分たちの敵に成りかねない国に対してアメリカは容赦ない。あらゆる手を使って日本を昔のような占領下に置こうとしたのだが、それが却ってアメリカ本国の体力を低下させる結果になることに気付かなかった。

 まあ、その本当の原因は、世界を支える唯一の国として、世界の警察というような役割を担った事で起きたのが本当の事なのだが、戦争で多くの金を使い、多くの人間を戦場に送り込むことを長年続けていれば、国力が弱まるのは必然である。

 

 国力が弱まると同時に、発言権を増す日本の存在は疎ましいものだったのだろうと思う。そうして今がある。この先強いアメリカは当分影をひそめるだろう。何故なら自国の政治的、経済的混乱を収める方が先決であるからである。

 そうして世界は、リーダーと思われていた国々を失い、新しいリーダー候補が現れるのを待っている。それが中国、ロシアなのか、それとも他の国なのか判らないが、今までのリーダーの役割を担っていた国々は、その役割を終えつつあるのは間違いない。

 その中で、リーダーの役割を担っていた日本が、この先、その地位を降り、何を目指して行動するのかが問われているともいえる。

 もうそろそろ、その役割を降りた国として、今までのように肩肘を張り、虚勢を張る必要はもうない。なりふり構わず自国の経済優先で政策を行っても、他国に対して影響は無いことを世界に知らしめる時期に来ている。