国境

 晴れ、気温は、朝6時で3度と低いが、春らしい日差しである。今日に中は、今年に入って最高気温に成るらしい。


 一時期、日本国内では、東アジア共同体という構想があった。日本を始め、韓国、中国、東南アジア諸国を含めた経済圏を構築しようというものであった。

 その前から、東アジアに日本も工場建設などを進め、海外に拠点を持っていたので、交流は有ったのだが、経済共同体としての交流をもっと深めて行こうという考えだった。

 その時から、韓流ブームが始まったのでは無いだろうか?日本観光に於いても東アジアの観光客が大勢日本を訪れるようになり、観光地には、日本語の案内の他、中国語、韓国語の案内が目立つようになり、自分が異国に舞い込んだような気にさせられたものである。

 北海道も例外では無く、外国人向けの案内が英語だけでは無く、中国語、韓国語が追加され始め、札幌市内ではそれが当たり前のようにもなってきている。

 しかし、その東アジア共同体構想も、いつの間にかアメリカを含めた環太平洋という構想に置き換わり、そんな話は既に無くなったような雰囲気である。

 またここに来て、日本に対する悪感情が増加してきている。中国では、尖閣諸島の問題であり、韓国では、竹島の問題が契機となり、日本に対するあからさまな口撃が始まった。それに輪を掛けているのがお互いの歴史認識の違いである。

 中国韓国の学校教育で行われている、日本に対しての教育は、日本を敵国として認識しなさいというもので、それが戦後日本との交流で変化すると思いきや、逆に過激になって来る。それは、日本に対するライバル意識をむき出しにすることで、国威発揚をもたらそうという政策だろうが、それにより友好関係を阻害するという考えは持たないらしい。

 それに対して日本国民の中にも、自分たちを嫌っている国の人間が何故日本国内にいるのかという事で、在日の人間に対する非難が始まった。それは、日本に悪感情を持つ人間たちが外野で囃し立てれば立てるほど、その反発は広がって行く。

 更に、日本国内の感情も右から左様々な様相を示しているからたちが悪い。日本人同士でもその意見を対立させれば、先鋭な意見が台頭してくるのは常識である。

 そこにきてグローバル企業と呼ばれる企業の動きがまた激烈である。今日の朝日新聞の記事の中に、ユニクロの社長の言葉が載っていた。グローバルは、「grow or die」でもあるというのである。そのためには、世界で共通の賃金制度を取り入れるという事である。

 その真意は、ユニクロは日本に根ざした企業では無く、世界に根ざした企業に成るということである。そこに日本に土着するという思想は微塵もない。あるのは、ユニクロという新しい独立国家が世界に伍して戦っていくという思想である。日本人のため、日本国家のために企業努力を行うという考えは無い。

 そして、このようなグローバルという言葉に賛同する企業はどんどん増えている。それはトヨタでありホンダであり、もろもろである。この先企業を残すために無国籍に成ると宣伝しているようなものである。自分たちの企業利益のためには国籍は無用の長物である。そういった思想がこの先蔓延って行くと、国という組織構造がまず先進国から消えていくだろう。そして、グローバルという名前に美化された企業が残るはずなのだが、そういった根無し草的企業は、何時か消えていく。それは、元に帰る基礎を自分から消し去ってしまうからである。そんな企業に人は愛着を持たないし、国籍不明の会社の存在価値は無くなるだろう。

 今後、世界の経済政策は、国とグローバル企業の争いになって行くだろう。そこで起きるのは、経済は何処に名坐うsの科という事だろう。国境が無ければすべて解決するという考えは、永久に訪れないと思う。