曇り、気温は低いが湿度は高い。


 以前にも書いたが、街並みは時間の経過とともにその姿を変える。今まで空き地だったところに建物が建ち、今まで人が住んでいた家の住人が変わり、今まで立派な庭を維持していたのに、雑草に蓋われる。

 また、それまで変わらないと思っていた建物も良く見れが外壁が痛み所々ペンキが剥げ、壁板にひびが見られたりと、自分が考えていた以上にその姿を変えていた。

 時の歩みは、地球上の生き物に平等に与えられている。一人だけ年を取らずに生きることは不可能で、草や虫と同じように時間という波が自分の体をすり抜けて行く。一秒前に有った自分の体も一秒分先の未来に移動している。

 そう考えてみると、例えばこの時間を止めることができるとするなら、その止った瞬間同じ時間を過ごす人、動物、草花など、それは同じ時間を共有していることになる。そこに同じ時間を生きているという事になるのだが、実際は、時を止めることなど不可能であり、これを書いている間にも、同じ時間に生きていたはず物が死に、そして新しく何かが生まれているのである。

 それは、滝行を行っている時、体を打つ水は、次の瞬間消え去り、また落ちてくる水に打たれているようなものである。時間の流れもその滝の水のように絶え間なく流れている分には、傍目では何も変わらないように見えるが、その流れる水は、絶えず過ぎ去りそして生まれてくるものなのだ。

 

 時間の中で絶えず生まれそして死んでいくのが理ならば、その時間の流れに抗う事はできない。それは、どんなに権力が有ろうと金が有ろうとも、何の影響を及ぼすことはできない。