気になった事

 曇り、まだ外は暗い。雪がちらちら降る。気温は0度くらい。


 今日のニュースで気になったのは二つ。

 一つは、特殊詐欺(オレオレ詐欺を含む)の被害額が今年383億円という話題。幾ら啓蒙活動を続けても、騙される人は騙される。基本的に日本人は、人を良い人であるという前提で物事を行う。実際、そういった人が多いが、やはり全ての日本人が良い人では無く、やはり悪意を持って近づいてくる人も存在する。

 年を取ると若いころより危機意識は薄れ、良い人悪い人の見分けがつきづらい。そこを上手くだまされると、簡単に大金を渡してしまう。

 数日前、オレオレ詐欺に引っ掛かった老母の話が載っていたが、障害がある娘のためにと思って溜めた1200万円もの大金を簡単に見知らずの他人に手渡してしまう。何故、騙されたか?電話で掛かってきた男の「オレオレ」という言葉につい近所に住む孫と思い込んでしまった。相手は一度も孫の名前を言っていないのにである。

 

 そんな大金を家に置いていることも信じられないが、電話での作り事を簡単に信じ手渡してしまうことが起き得るのだということを学ばなければならない。

 二つ目は、札幌の地下鉄電車内の携帯電話の電源の事である。電車の中で良く見る風景は、座席に座る人、立つ人の半分以上が電車に乗るや否や、スマホや携帯を確認する。それは、もう見慣れた景色である。今回、携帯、スマホの電源を切る範囲が優先席の近くに限定されたが、果たしてその席の近くにいる人で電源を落とす人がどれ程いるだろうか?甚だ疑問である。自分は効果が無いと思う。もし、本当に優先席付近で電源を切らすなら、優先席付近を電波が届かないような工夫をすべきだろう。電波が届かなければ使う人は減るし、電波の届く範囲に移動しようとするのが人間の習性である。

 昔は、電車内は電話の電波が届かなく、誰もポケットから取り出すことは無かった。それが通じるようにし、何時でも携帯やスマホを使えるようにしておきながら、優先席だけ使えないように啓蒙するのは無理がある。もし本当に使わせたくないのなら電車内は電波を遮蔽すべきだろう。そうなればそうなったで何故使えなくするのだと文句を言う輩が出る。電車に乗っている時間はせいぜい20分程度だろう。その間、重要な連絡が入る人がどれ程存在するだろう。

 人間は、一人一人個性を持つ。同じ個性を持つ人間はいないのは真理である。しかし、その個性を持った人間が集まり集団となるとその集団ごとに個性を持つようになる。

 

 その集団の縛りの中で、自分の個性を閉じ込めることを生まれながらに知っている。中にはそれを果たせない人はいるが、基本的にはルールを守ろうとする。

 車内の携帯の利用もそうだが、始めは、電車内では携帯を使う事はマナー違反だというルールが有った。しかし、そのルールを大っぴらに破る人間が現れ、その数が増えることでその集団のルールが変わり、電車内のルールは、誰も咎める者が居なければそれを無視するというものに変わり、優先席付近でのみ電源を切るというルールに変わらず負えなかった。

 例えば、電車内での携帯利用は罰金1万円という法律ができたならどうだろう。きっと今までルール無用で使っていた人たちは、利用を止めるだろう。人というものはそういうものである。

 年老いた老人を狙うオレオレ詐欺の加害者たちは、きっと自分たちは捕まらないと思っているだろう。更に捕まったとしても刑期は軽く、刑務所暮らしを終えたらまた戻ってきてまた同じことができるだろうと思っているのは間違いない。今の犯罪を犯す人間にとってそのバランスは、犯罪を犯した方が得であるという考え方に振れている。

 

 人間の考え方のバランスは極端に考えれば損か得かである。常に得と思われる方へ誘導される。電車内の携帯の使用についても、オレオレ詐欺を行う事についても、現状は、罰せられないし、捕まる危険性は低い。そういった現状でモラルを訴えることは、のれんに腕押しも良いところである。

 この世は、人を見たら悪人と思えが正しい生き方に徐々に傾いてきている。それは、人々の考え方が損得だけで判断する世の中に変わってきているからである。それは日本に係らず世界的な流れでもある。

 人が暮らすには、本当に生きづらい世の中に変わってきているともいえる。その中の一人である自分がそうではないという気はさらさらないが、損得だけでは無いという生き方も大事である。