猪瀬都知事

 晴れ、東の空に上った太陽が低く日差しが眩しい。気温はマイナス4度。

 

 東京の猪瀬都知事、連日の弁明が続いているらしい。その間の記事を見ていると、話した内容が二転三転し、嘘の上に嘘を塗り替えるという形容がピッタリな状況となっている。本来なら既に辞任をするべき状態に追い込まれているのだが、本人は辞任しようとしない。

 彼が守り抜こうとしているのは、自分の名誉なのか、それとも他の何かなのだろうか?名誉なら既に地に落ちてしまっているのであるから、きっと他の何かを守り抜こうとしているのだろう。

 これまでの状態は、誰かのための時間稼ぎなのだろうか。しかし、今の彼がこの状態で誰かを守ろうとしているとは思えない。それともこの裏に何かが隠されているのかと思うが、今の状態は、裁判を受けているわけでもなく、今回の証言で罪に問われることは無い。公職選挙法違反あるいは収賄罪などの捜査は、並行して行われているだろうからそういった線では無い。

 そう考えれば、彼が守ろうとしているのは、自分の都知事という地位にしがみつくことを目指しているだけなのだろう。確かに、選挙で大勝し、2020年のオリンピックも失言をしながらも誘致できた。その功績が大きかっただけで、それ以外の何ものでもなかった。

 そもそも彼が選挙に勝てたのも、高速の民営化の際に正論を堂々とぶつけ、それなりの成果を上げたからに他ならない。その姿は、大きな相手に一歩も引かないで自分の意思を押し通す無頼漢であり、それを見て国民は、猪瀬はやるなと思わせたからである。

 彼の計算の狂いが始まったのは、石原都政に係ったことだろう。きっとその時は飛ぶ鳥を落とす勢いであり、人気を博したことで勘違いをしたのだろう。自分も権力の一角に食い込んだという意識が大きかったのだろう。それを生かすために副知事になり次のステップアップを目刺し東京都知事までにもなった。全くもって彼の思いは叶ったと思った絶頂だったのだろう。

 それが狂ったのは、都知事選の時に金をくれた徳田グループが公職選挙法違反で捜査された時点だった。そして彼の夢が儚く散った時でもある。

 きっと彼の中に色々な後悔が有ったのだろう。結局選挙で5千万円を使う事は無かったのだろう。だからやましい事は無いと自分では考え今の抗弁があるのだろう。まさしく生贄になった気分だろう。それが今の彼の表情に現れている。

 人生は後戻りすることはできない。何時何が自分の身に降りかかることがあるか判らないのが本当のところである。これは他山の石とすべき教訓である。