ベア

 晴れ、気温はマイナス19度。夜明け前は、-20度以下に冷え込んでいた。寒い。


 アベノミクス効果で企業の業績が回復し、次は、その経済波及効果で庶民の暮らしも良くなるはずである。もしそれが無いとしたら国民の負担増に成る消費税UPは家計を直撃するからである。

 で、企業は本当にベースアップを考えているだろうか?

 経団連の会長は、以下のように語った。

 引用 毎日新聞http://mainichi.jp/select/news/20140205k0000e020222000c.html

米倉会長は労使会談の冒頭で、日本経済について「安倍内閣による一連の経済政策が功を奏し、底堅い消費などの内需がけん引する形で着実に回復している」と総括。「労使が一致協力して新たな成長を生み出し、広く国民に豊かさをもたらしていくことが民間企業に求められている」と述べ、経営側としても雇用の拡大や賃金の改善に前向きに取り組む姿勢を示した。

 経団連の会長はそういうけれど、企業の幹部はそうは思っていない。自動車、電機産業は今は好調だが、何時なんどき足元を掬われるかもしれない。そうなった時、生き延びるために、出来るだけ内部留保をしておきたいというのが本音だろう。

 儲けを全て還元してしまえば、懐は空に成り、借金するしかなくなるが銀行が簡単に金を出すとは限らないからである。ある意味先が見えている人間にとって保身が第一であり、将来的な展望は自分の残りの人生程の期間しか思いを巡らせないし、責任をとることイコール自分の会社人生が終わる時だからである。

 働く労働者にとっても、会社が無くなるという危機感は徐々に薄くなっている。それは終身雇用という決まりが上場企業ほど薄くなっているからである。

 有能な社員なら自分で次の道を探すことができるし、そもそも会社をステップアップの場としてしか見ていないからである。それが不可能な社員は、何時自分がリストラに会うか判らない状態で働いているとするなら、会社への忠誠心は薄れて行くだろう。

 多くの企業は、内部留保をしたい。社員は消費税分のベースアップを求めたい。そのせめぎ合いである。今の政権としても消費税増税で日本の経済成長、景気回復が中折れしてしまっては、次は無い。その不安を解消するには、まずベースアップである。このまま景気回復のスピードを落として欲しくは無いからである。

 終身雇用の習慣が崩れ、何時でも解雇でき、更に非正規社員が増えれば増える程、目先の利益に目が行く。そういう風な流れを自ら作り上げ、自分たちが良ければそれで良いとばかりに、利益追求のために工場の海外移転を繰り返してきた。自分たちだけが、今さえよければという経営者が増えてきた結果である。労働者もそういった思想に洗脳されてしまったともいえる。

 果たして、この先、目の前にある利益を前にして、どういう行動をとるのか?

 結論として、今回の強い政府の移行により、上場企業は軒並みベースアップするだろう。それにつられ中小もせざる負えないだろう。その代り、企業が雇用する社員の大半を正規雇用から非正規雇用に切り替えられやすくなるようになっていくだろうし、正社員と言われる社員を解雇しやすくしていく流れに成るだろう。

 はたしてそういった雇用形態の変化が、将来の人間にとって幸せかそうでないかは、今の自分には予想することすら不可能である。

 非正規雇用が当たり前の社会に成るなら、せめて社会保障が充実していなければ、社会は歪んだものに成るのは間違いない。富めるものと富めない者の格差が大きくなり、総中流と言われたバブル期のような現象の繰り返しは起きないだろう。