この先

 晴れ、気温はマイナス3度。漸く、最低気温が一けた台の前半という日々が続くようになってきた。このまま朝方の気温は、5月頃までに10度程度上がることになる。


 4月から消費税が上がるのだが、本当に日本の景気は順調に回復するのか甚だ疑問に思うようになってきた。アベノミクス効果である程度輸出産業の盛り返しは有るが、その代り国内産業の空洞化が目に見えて大きいことを感じさせる。

 あの頃、人件費の安さを求め国内企業はこぞって国外へ進出していった。そのあおりで国内の産業の衰退を憂える声は聞こえなかった。その頃の論調は、高級品にシフトとか、特許産業を育てると言ったものだったが、決して日本ブランドが高級品にシフトはしなかったし、特許産業も、ガラパゴス携帯に代表されるように他の国が追随しないという寂しい結果に終わり、花形だった電子産業も屋台骨を抜かれ青根吐息となり今がある。

 本当に我々が望んでいた、或いは夢見ていた日本の将来像は決して明るいものでは無かった。更に、以前のジャパンアズナンバーワンと呼ばれた頃を知る世代は、またいつかその時が来ると楽観視していたが、その時は、まだ訪れていない。

 そして、何もかもが行き詰った頃に誕生した民主党政権は、結局、日本を盛り返すことができないまま表舞台から退場し、その間に東日本大地震の影響を諸に受けた日本は、今本当に再生の途上にいる。

 話は、消費税に戻るが、そもそも消費税の値上げは、今後の社会保障の原資を得るためのものと考えられていた。しかし、このままいくと、またもや官僚主導の元、その税金は社会保障には全部使われず、結局自分たち官僚の懐を温めるための手段として使われていく感じがしている。

 その一つが、予算を天下り団体に横流しする方法である。彼らの老後の保障のため、一度は整理されたはずの団体が息を吹き返し、予算をぶんどる。消費税の影響で多くの中小企業はダメージを受け、何割かが潰れていくが、それに対しての保証は何もない。結局潰れ損であるのに対して、彼ら官僚の身分保障は完璧である。

 消費税が上がる4月には、医療改定がある。今回の改定は、厚生官僚の政策の失敗を繕うためのものである。その大きなものは、急性期医療の7対1看護の問題である。

 最初から、急性期医療の7対1の部分を今回改定するような厳しい設定にしておけば問題なかったはずなのに、それをせず、自由な競争に任せ、多くの病院が7対1に移行した。ただ看護師を増やせば、医療体制が曖昧でも収入が増えるため、こぞって全国の病院がそこを目指して突っ走ってきた。そして、都会に看護師が集中したと同時に売り手市場に成り、医療は崩壊し始めた。更に医師も都会を目指し、医師を雇用すればある程度収入が確保されるために、地方への流動性も無くなってしまった。

 今回の改定で、多くの医療機関が右往左往し、ある程度の急性期ベットは減少するだろう。その時、病院が倒産するのを防ぐため、並行して医療法人の持ち分の返上を求め始めている。

 そこにあるのは、政策では無く思いつきである。制度設計は入りから出まできちんとした整合性が必要であるが、それが不足していたと言わざる負えない。

 今後医療界も、ビジネスチャンスを求め、色々な人間が入り込み、今までのようなのんびりした体制は望むことは不可能だろう。医は仁術という言葉は永遠に過去のものに成るだろう。