この先

 小雨と強い風。気温は、8度。寒い。


 医療の充実と国の経済は密接に関係している。医療費の多くに税金が投入されるのも、その財源が有ってこそであり、その資金も国の安定的な税収が有ってこそである。更に、国民皆保険の元納められる保険料も、国民が安定的な収入を得てこそ負担できるという事に成る。

 日本の保険制度は、病気に成らない人、病気でも軽症の人の保険料が重症者の治療費に当てられることで回っている。しかし、超高齢化社会に向かうに当たり、その根本的な、健康者>治療を必要とする人の数式が、徐々に健康者=治療を必要とする人となり、この先、健康者<治療を必要とする人となった時、その循環が停止し、破綻する。

 破綻しないようにするには、他から多くの財源を投入しなければならないが、そうなった時労働者人口は減り、健康な働き手の数は減り続ければ国の税収も減り、そこから回される財源も不足することになるのは素人考えでも明らかである。

 ハッキリ言ってしまえば、10年後、20年後の日本の経済構造によりその姿は幾らでも変わるが、このままの状態で推移していけば破綻することは明らかである。

 今現在、病院に入院する多くは、60歳以上である。更に病院も経営を確保するのに多くの老人に対して高度治療を行っている。何故ならその収益の対象者に年齢に応じた医療点数の上下が無いため、病気がある高齢者に対して高度な医療を行っても利益は同じだからである。

 以前なら行われなかった、高度医療も80歳を超えた人たちに対して普通に行われるようになっている。その人の寿命が他の病気で後1年だとしても、治療すれば治療する程儲かればそちらの方向に向かう事は明らかである。

 きっと今の高齢者は、そういった手厚い医療を受けられる最後の世代かもしれない。この先、そういった高度医療を受けようにも自己負担の大きさから治療を受けられないという高齢者が増えてくるだろうと予想されるからである。

 そして、もしそういった事が現実に成った時、国民皆医療制度は崩壊する。何故なら手厚い医療を受けるために若い時から納めている保険料が、老後に何の役に立たないと思えば支払う意欲が薄れてしまうからである。将来適切に医療受けるために支払っていたお金が使い尽くされ、自分がもしそれを受けられないと判っていて支払う人がどれ程いるかという事に成るからである。

 資源の無い国日本で、安定的収入を得る物は何も存在しない中で、国が安定的収入を得ようとすれば、以前のように原料を輸入し製品を作りそれを海外に売るという方法を取らなければならないが、既にその役割は別の国が担い、既に日本にその力は無い。高付加価値のものを作り出そうにも、日本人だけが優秀では無い。多くの地球上の人間にその何かを生み出す能力が備わっており、何かを生み出す環境が整い始めた今、日本だけの専売特許は薄れているのは間違いない。

 10年後20年後の日本の医療は迷路にはまっているはずである。どこにも逃げ道がなく、最終的な解決方法を見つけられないままその場しのぎの方法でしか生き永らえることはできないところに到達しているだろう。

 まさしくこれから10年後20年後に老後を迎える世代が最初の試練に立ち向かう事に成る。その時には消費税が20%、30%と言う時代になるのかもしれない。しかし、そういった働いても収入が上がらない社会に住み続けようという外国人労働者は存在するだろうか?

 自分なら間違いなく敬遠するだろう。今現在程度の環境なら住み続けるだろうが、そうなった時点で生まれた国に戻ろうと思うだろう。何の言葉の不自由も無く暮らせるのはやはり生まれた国だからである。

 外国人移住者を迎えるにも安定した国家でなくてはならないし、必ず手厚い福祉を受けられるという条件でなければその達成は難しいだろう。

 長々と書いてしまったが、この先、本当に上手く回らなければ、先は無い。その上手く回るように舵取りをするリーダーが必要である。それが今の安倍さんなのかそれ以外なのか誰も知らない。その評価は結果が表れて初めてできるものだからである。