崩壊と再興

 雨、気温は10度。風が強いのでより寒く感じる。

 世界のいたる所で衝突事件や、テロ、政変が絶え間なく起こる。今年は、今後起こる世界的規模の激動の前触れなのかもしれないと案じている。

 人の心が荒めば荒むほど、お互いの感情をぶつけ合うようになる。些細な事であっても意地を張って自己主張を曲げないというようなものである。

 そのような世の中を築いていたのは、戦後から70年程経つとその戦争を知らない世代が占めるようになり、そのこと自体が、過去の悲劇を美化しようという動きにつながるのだろう。

 

 今の日本がそうであるように、自分たちのアイデンテティを獲得するために強い日本を取り戻すことに方向性を定めることは間違いないと思う。それが、危険性をはらむものであるのは間違いないが、どこかで方向転換しなければ目標を失った国民は活力を失うからである。

 そういった間違った方向へ向かないように舵取りをしながら、日本という国の在り方を国民全体が共有しなければ、この閉塞感から抜け出すことはできない。

 満ち足りた生活は、怠惰な豚を生む。それが少数なら構わないが、過半数が怠惰な豚ならそれを養うために国家が滅んでしまう事につながる。そのギリギリのところで堪えることが出来なければという所に来ているのは間違いない。

 

 途を踏み外してしまう危険性は常にあり、更に面倒なことに世界にある国家は日本だけでは無く、色々な考えを持つ人間が国家を形作っていることである。そのせめぎ合いの中で、どういった国家を作って行くかがこの先の命題ともいえる時期でもある。

 世界中のいたる所で、戦後の世界秩序の崩壊が始まっている。それは、そういった安定した体制を覆そうという力が常に人間という集団では働くからである。それは、人間の本能のようなものであり、特殊な行動では無い。

 人間は常に安定を嫌がり、それを破壊する方向に向かおうとする。それは、個々の人間が現状の体制に満足していようとも、それが集団を形成すると同時に、他の集団を破壊するか、内部崩壊するか不安定な状態を求める方向に進む。

 それが、人類の進化の歴史に刻まれたDNAの影響と言えるのかもしれない。その遺伝子情報は、人間として生きるなら逃れられない呪縛のようなものである。それを避けることはできない。